「瑕疵担保責任」~そもそも瑕疵とは~|インタビュー|弁護士が伝える投資不動産の基礎知識|一般社団法人 投資不動産流通協会

弁護士が伝える投資不動産の基礎知識

2016年10月20日

「瑕疵担保責任」~そもそも瑕疵とは~


こんにちは。当コラムでは、会員の皆様向けに、当協会法律アドバイザーの弁 護士池田理明先生に不動産売買の実務に関わる法律やコンプライアンスの解 説をしていただいております。第1回目の前回は居住用を限らず不動産実務経 験者なら必ず理解をしておかなくてはならない「瑕疵担保責任」を取り上げま した。今回も前回に引き続き「瑕疵担保責任」について解説をしていただきた く思います。先生、よろしくお願いいたします。


はい。よろしくお願いいたします。


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第2回目は前回に引き続き「瑕疵担保責任」についてお伺いしたいと思うのですが、「瑕疵担保責任」にいう「瑕疵」には、どのような具体例があるのでしょうか。


「瑕疵」という言葉を法律的に言い直すと、一般的に「目的物が通常保有すべき 品質・性能を兼ね備えていないこと」と表現されています。 ただし、「瑕疵」に該当するか否かの判断は、机の上で論理的に判断できるほど 単純ではないのが実態です。


前回ご紹介した事案としては、契約締結当時にシロアリにより土台を侵食されて、建物の構造耐力上、危険があった場合が挙げられていたかと思います。


そうですね。裁判所は、住居としての建物の安全性という機能を欠くものとして「瑕疵」にあたると判断しました(東京地裁 H18.1.20)。

同じように、シロアリによる侵食が原因で柱などに腐食が生じていた場合で「瑕疵」が認められた裁判例はいくつかあります(東京地裁 H22.4.22/東京地裁 H20.6.4)

また建物に傾斜があり1,490cmの距離で約12cm程度の高低差があった事案でも「瑕疵」に当たるとした裁判例(東京地裁 H19.4.6)などもあります。


なるほど。認められた事案というのは、何が基準になっているのでしょうか?


はい。今お話した事案は、いずれも物理的な欠陥があった場合であり、このような瑕疵が「隠れ」て存在した場合、すなわち、買主の主観として、瑕疵の存在を知らず(これを「善意」といいます。)かつ知らなかったことに過失がない(これを「無過失」といいます。)場合】には、売主に瑕疵担保責任が認められます。



なるほど。では、先生、同じように物理的な欠陥があった場合で、たとえば、中古ビル設備や性能が、現在の設備や性能と比較して低いと感じた場合、これは瑕疵にあたるのでしょうか?


参考になるケースとして、中古ビルの耐震性能が現在の耐震性能基準に照らして 極めて低かったという事案で、「瑕疵」に当たらないとした裁判例があります(東 京地裁 H:19.4.27)

この事例は、契約書上、「不動産の建物および付帯設備などにつき経年劣化によ る品質、性能上の劣化ならびに使用損耗が生じていることを買主にあらかじめ 告知し、現状のまま買主に引き渡すものとする。」旨が定められていた事案でし た。

また、建物の給排水管に腐食があり、購入直後から漏水事故が立て続いた事案で、「中古建物が売買契約の目的物である場合、売買契約当時、経年変化等により一定程度の損傷等が存在することは当然前提とされて値段が決められるのであるから、当該中古建物として通常有すべき品質・性能を基準として、これを超える程度の損傷等がある場合にこれを「瑕疵」というべきである。」と判示し、経年劣化による腐食は「瑕疵」に当たらないとした裁判例(東京地裁H17・9・28)もあります。


なるほど。そのような裁判例からすると「瑕疵」となる可能性があって、判断を巡って争いになり得る具体例は色々と考えられそうですね。


そうですね。それが民法570条の「瑕疵」に当たるかという話になると、裁判所 では諸般の事情が総合的に考慮されていることが分かります。たとえばシロア リによる侵食・腐食があったとしても建物の建替えを前提とする売買契約の場 合などには、「瑕疵」と認められる可能性は低いでしょう。


先生、その「瑕疵」となる基準ですが、不動産仲介の方々からすれば、どのような 基準で「瑕疵」の有無となるかとても気になるところだと思います。次回そちらに テーマを絞って解説をしていただけますでしょうか?


分かりました。準備をしておきます。


よろしくお願いいたします。先生、ありがとうございました。


ありがとうございました。




弁護士 池田 理明 第二東京弁護士会所属



[所属事務所]
東京桜橋法律事務所



[経歴]
平成12年3月
中央大学法学部法律学科卒業

平成17年11月
司法試験合格

平成19年9月
弁護士登録
東京桜橋法律事務所入所

平成25年1月
同事務所パートナー弁護士に就任 



[主な取扱分野]
中小企業の法務全般、不動産取引、
訴訟案件、倒産事件、刑事事件他

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