放置自動車を勝手に処分してよいか|インタビュー|弁護士が伝える投資不動産の基礎知識|一般社団法人 投資不動産流通協会

弁護士が伝える投資不動産の基礎知識

2017年07月28日

放置自動車を勝手に処分してよいか

先生。ご無沙汰しております。 お互い忙しくて、だいぶ時間空いてしまいましたね。


そうですね。このコンテンツを楽しみにされている会員さんも多いとお聞きしていますので、定期的に実施したいですね


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はい。ということで、今後ともよろしくお願いいたします!
前回お話ししましたが、会員の皆様は賃貸業をされている方も多くいらっしゃいます。そして、投資用不動産の実務に賃貸経営・賃貸業はついてまわるものでして、今回もそのテーマに絞ってお伺いしていきたいと思います。


わかりました。


この間、東京の会員企業様から、『アパートを買い取ったのですが、アパートの駐車スペースに自動車が放置されていて困っており、仲介業者や買主は、この自動車を勝手に処分してよいか』という質問を受けたことがありました。そのあたり法的にはどういう対応が望ましいのでしょうか?


結論から先に話すと、自動車の転売や廃車などの処分は所有者でないとできませんので、原則としては、勝手に処分することは許されません。


なるほど。それは自転車やバイクも同じですか?


同じです。自動車を放置することは、自動車が前の不動産の所有者の所有であったとしても、或いは全く第三者の所有であったとしても、不動産の購入者の所有権を侵害していることは確かです。このことは自転車やバイクでも同じです。


そうですよね。明かにスクラップ同然の自転車が放置されていてたりしますと、美観も損ないますし、何とかしたいところですが、どうしたら良いのでしょうか?


はい。法律的には、自動車などの所有者に対して、妨害排除請求権(つまり、自動車の撤去を求める権利)やと損害賠償請求権(つまり、その自動車をその場所に置くために一般的に支払われる賃料相当額の請求を求める権利)を行使することが考えられます。


撤去費用の請求だけでなく、損害賠償の請求も可能なのですね。撤去を求める場合、具体的にはどういう手続きが必要なのでしょうか?


放置されているのが普通車なのか軽自動車なのかなどで異なりますが、普通車の場合、放置された状況等を写真で撮影するなどして、所定の手続きを経れば、自動車検査登録事務所(以前は陸運局といいました。)に請求し、自動車の「登録事項等証明書」の交付を受けることができます。 この証明書によって所有者を確認し、当該所有者に対して、自動車等の撤去を求めるのが、正しい対処方法となります。


なるほど。自転車の場合ですとどうなりますでしょうか?


自転車の場合も基本的な考え方は同じですが、自動車ほど簡単に所有者が分からない可能性があります。まずは、不動産の売主に事情を聴き取ることが肝要ですが、それでも判明しない場合、市区町村の行政窓口に放置自転車として通報し、撤去を依頼するのが無難かと思われます。


なるほど、地方自治体に連絡するのですね。私も過去経験がありますが、自転車や放置自動車は警察に連絡するといった認識をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、警察が対応してくれた事はありませんでした。


はい。警察や行政が放置自転車として処理をする法的な義務はありませんからね。


そうなると、現実問題としては、最終的には「一定期間、撤去を促す掲示を行った上で、こちらで廃棄処分してしまう。」というのが、実務上は多くあります。それは問題でしょうか?


その場合、厳密にいうと自転車などの所有者の所有権を侵害してしまうことになりますので問題が全くないとは言い切れません。ただ、放置している自転車ですから、わざわざ損害賠償請求されるリスクは高くない気がしますね。仮に請求されても大した金額ではないことを考えると...そうですね。現実的な対処方法としては、処分するなり撤去するなりする方法も選択肢の1つかもしれませんね。


放置自転車とか放置自動車は放っておくと美観を損ないますし、1台を許すと2台、3台と増えてしまう可能性がありますし、賃借人の管理が甘いオーナー、管理会社だなと思われてしまいますよね。


おっしゃる通りです。協会には、物件調査用のシートが準備されていますね。ああいった書類を活用して事前に調査、対応策を決めておくことも大切かと思われます。


確かにそうですね。そのアパートを新たに借りたい人が案内されたとしても、錆びついてスクラップ同然の自転車や自動車が放置されていたら、いい気持がしないですもんね。 会員の皆様、スマートな賃貸経営を目指すには、放置自動車や放置自転車の整理をスムーズに行うよう心がけてください。
弁護士 池田 理明 第二東京弁護士会所属



[所属事務所]
東京桜橋法律事務所



[経歴]
平成12年3月
中央大学法学部法律学科卒業

平成17年11月
司法試験合格

平成19年9月
弁護士登録
東京桜橋法律事務所入所

平成25年1月
同事務所パートナー弁護士に就任 



[主な取扱分野]
中小企業の法務全般、不動産取引、
訴訟案件、倒産事件、刑事事件他

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