「投資用不動産の付帯設備」に関する瑕疵担保責任|インタビュー|弁護士が伝える投資不動産の基礎知識|一般社団法人 投資不動産流通協会

弁護士が伝える投資不動産の基礎知識

2018年03月19日

「投資用不動産の付帯設備」に関する瑕疵担保責任

先生、こんにちは。早いもので、今年度も終わりますね。


そうですね。早いですね。

 interview10th.jpg


不動産業界は繁忙期真っ只中となっておりまして、会員の皆様も、息付く暇もないほど忙しい日々を送ってらっしゃるかと思います。


そうでしょうね。

会員の皆様、そんな慌ただしい状態の中でも、是非、丁寧で慎重な取引を心がけていただくようお願いいたします。 さて先生、今回は「投資用不動産の付帯設備」に関する瑕疵担保責任について伺いたいと思います。


はい、わかりました。

池田先生へのインタビューの第1回から第4回においても瑕疵担保責任については、記事にして参りましたが、第1回から第4回における瑕疵は、居住用、投資用を問わず、
①売買契約の趣旨、
②売買代金、
③目的物の特性という、いわゆる瑕疵担保責任について解説をしていただきました。今回は「投資用不動産の付帯設備」にフォーカスを当てて伺いたいと思います。


わかりました。

中古のアパートやマンションには、建物を使用するに際して様々な設備が設置されています。この設備が壊れていたような場合にも、瑕疵担保責任の規定は適用されるのでしょうか。


はい。設備の具体例にもよると思われますので、事例を分けて検討してみましょう。 建物の設備に「瑕疵」があった場合に、瑕疵担保責任が検討された事例としては、たとえば、マンションの防火扉が不作動となった場合に瑕疵担保責任を認めた事例(東京高裁H16・7・14)や水抜き空間や排水パイプ等の排水設備が存在していない場合に瑕疵担保責任を認めた事例(神戸地裁H9・9・8)などがあります。

いずれも、建物の躯体部分とまでは言えないような気がしますが・・・。


そうですね。この場合、このような設備が備えられ、しかも機能していることが建物の「通常保有すべき品質・性能」であると考えられたことになります。

アパートや賃貸マンションの設備は建物(不動産)そのものではないが、建物と一体となるものであると。


そうです。建物の設備は建物と一体になるものですので、基本的には不動産売買における瑕疵担保責任の対象となると考えられます。勿論、瑕疵担保責任は、売買契約時に存在した「瑕疵」についての責任規定です。売買契約が締結した後の経年劣化等によって不具合が発生したような場合は、責任の対象から外れますので、この場合には瑕疵担保責任の適用はありません。

なるほど。それでは、中古のアパートや賃貸マンションに備え付けられたその他の設備はどうでしょうか。たとえば、エアコンとか・・・。


はい。簡単に取り外しや交換が出来る様な設備ですね。

そうです。 その設備自体取り外しが比較的に容易な設備が故障していたような場合、瑕疵担保責任の規定に基づいて売主に対して修補請求をすることはできるでしょうか。


はい。エアコンの場合は修補請求できないと考えるのが一般的です。前述の防火扉や排水パイプ等の場合と結論が異なるのは、エアコンの場合は建物に符合して一体化しているとは言えないからです。

なるほど。


通常、建物の売買契約は、売買される建物を目的物としてその対価が決められますよね。

はい。わかります。建物設備がその建物に符合し一体化しているかどうかがポイントという事になるわけですね。では、システムキッチンやユニットバスですと、どうなりますか?


システムキッチンやユニットバスなどの設備は建物に符合しており独立の存在とは認めらませんので、これらは建物と一体として評価されて、その対価が付けられます。これに対して、エアコンや浄水器などの動産設備は、売買契約に伴って所有権が移るとしても、建物の対価として評価されていないのが一般的です(特約があれば別論です。)。

では、売買したアパートや賃貸マンションに備え付けられたエアコンが、元々、故障していた場合に、売主に対して瑕疵担保責任を主張して修補請求をすることはできないということになるんですね。


そうですね。ただ、同じエアコンであっても、建物と一体化しているビルドイン型のエアコンであれば、瑕疵担保責任の対象となると考えられます。

奥が深いですね。 建物設備に関する瑕疵担保責任で、他に注意することはありませんでしょうか。


最近の事例で、ルーフバルコニー付のマンションを買受けたところ,上階のバルコニーのアルミ手摺の縦格子がルーフバルコニーに落下する恐れがあり,ルーフバルコニーが使用できなかったという場合に、売主の瑕疵担保責任を認めた裁判例(東京地裁H24・3・11)がありました。

またおっかない話ですね(笑)。でもマンションのルーフバルコニーは共有部分なので、売買の対象となった専有部分ではありませんが、それでも瑕疵担保責任の対象に含まれたのですか?


良い質問ですね。確かに、ルーフバルコニーは専用部分とは異なります。それでも、この裁判例は、規約上、玄関扉や窓ガラス等と同様に、特定の区分所有者に専用使用を認めるものであるから、売買の目的物に含まれると解釈し、バルコニーが使用できなかったという瑕疵も瑕疵担保責任の対象としました。

それこそ、第1回~第4回の池田先生のコラムにて勉強した、①売買契約の趣旨、②売買代金、③目的物の特性という事が勘案されたのでしょうね。


そうです。瑕疵担保責任の適用には、実質的な考察が求められますので、取引された各物件に応じて疑問があれば、専門の弁護士に相談することをお勧めします。

その各物件固有の疑問や性質に気が付く事がとても大事ですね。 一番最初の話に戻りますが、慌ただしい時期だからこそ、より慎重に物件の調査をしたり、発生した問題に丁寧に対応する事が大切なのかもしれませんね。会員の皆様、当協会の営業三帳票の一つ、「物件調査シート」を是非ご活用ください。そして、慌ただしい今の時期だからこそ、より丹念な仕事をする事を是非心がけていただきたいと思います。 先生、今回もお忙しい中ありがとうございました。


こちらこそ、ありがとうございました。

弁護士 池田 理明 第二東京弁護士会所属



[所属事務所]
東京桜橋法律事務所



[経歴]
平成12年3月
中央大学法学部法律学科卒業

平成17年11月
司法試験合格

平成19年9月
弁護士登録
東京桜橋法律事務所入所

平成25年1月
同事務所パートナー弁護士に就任 



[主な取扱分野]
中小企業の法務全般、不動産取引、
訴訟案件、倒産事件、刑事事件他

弁護士が伝える投資不動産の基礎知識

カテゴリー

過去アーカイブ