書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』④|取引士向けお役立ち情報|取引士向けお役立ちコンテンツ|一般社団法人 投資不動産流通協会

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2022年08月30日

書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』④


不動産売買契約における賃貸人の地位承継に関する協会の書類『不動産売買契約における賃貸人の地位承継に係る覚書(以下『地位承継の覚書』)』のポイントを説明します。

この書類は売主から買主が賃貸人としての地位の確定だけでなく、「賃貸借契約」を引継ぐということも意味します。そして売買契約書と連動して賃借人の「賃貸契約」を引継ぐにあたり、売買契約書では賄いきれない事項を補完する意義も持ち合わせています。

<ポイント>
『地位承継の覚書』条文の抜粋 -----

第4条(賃料支払い先の誤り)

1.各賃借人が所有権移転後に賃料の支払いが誤って甲に支払われた場合、甲は乙に滞りなく、その分の賃料を乙に振込みにより支払うことを同意します。

2.前項の振込手数料は乙の負担とし、甲は振込手数料を差し引いた金額を賃料として乙指定金融機関の口座に振り込みます。

(※売主:甲、買主:乙)
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この他、物件の引渡しを受けた翌月は賃借人が間違って、旧所有者(売主)への振り込みが多く発生します。このような場合を想定して間違って売主に賃借人から賃料等の振り込みがあった場合、買主に間違って振り込まれた賃料の扱いについて取決めをしています。

なお、『地位承継の覚書』には買主の振込先の記載欄を設けていないので、実際の取引においては買主の振込先を別紙で用意しておくか、『地位承継の覚書』に加えておくとよいでしょう。

投資不動産売買は、売買契約書だけでは賄いきれない内容があります。無理に特約に記載するのではなく『地位承継の覚書』も活用してください。また『地位承継の覚書』の項目等が不足している場合は変更をかけてご使用ください。



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