書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』②|取引士向けお役立ち情報|取引士向けお役立ちコンテンツ|一般社団法人 投資不動産流通協会

取引士向けお役立ちコンテンツ

2022年05月30日

書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』②


今回も不動産売買契約における賃貸人の地位承継です。

売買契約における賃貸人の地位承継に関して、書類『不動産売買契約における賃貸人の地位承継に係る覚書(以下『地位承継の覚書』といいます)』を用意しています。

この書類は売主から買主が賃貸人としての地位の確定だけでなく、「賃貸借契約」を引継ぐということも意味します。そして売買契約書と連動して賃借人の「賃貸契約」を引継ぐにあたり、売買契約書では賄いきれない事項を補完する意義も持ち合わせている書類です。

『地位承継の覚書』を作成する3つの目的・役割
①売主から買主に賃貸人としての地位が承継した事を確定させる。
②売買契約以外で取決めをしておくべき事項の取決めをする。
③賃借人や保証人または第三者に証明できる根拠となる。

この『地位承継の覚書』による取決めで、ポイントとなる項目について説明をします。

<ポイント>
『地位承継の覚書』条文の抜粋 -----

第1条(地位の承継)

3. 甲と各賃借人が本物件の建物賃貸借契約以外の敷地等利用に関しての契約を結んでいた場合、甲は乙にその地位を承継します。

4. 各賃借人が入居している部屋に各賃借人による造作物があり、賃貸借契約にて甲が造作物の買取りを同意している場合、乙はこの債務を承継します。

5. 前項により各賃借人から退居時に造作物の買取りの請求があった場合、乙は買取り費用を支払います。

(※売主:甲、買主:乙)
----------------------------------

(該当項目3項)売主が賃借人のために売買契約とは別の敷地を借りている場合、さらに、(該当項目4項、5項)賃貸借契約の中には造作物の買取りについて、貸主が造作物買取りの同意をしてある場合が稀にあります。賃貸借契約による造作物の買取り債務の承継(貸主が造作物の買取り費用を借主に支払う)も確定させています。


投資不動産売買は、売買契約書だけでは賄いきれない賃貸契約に付随する内容があります。無理に売買契約書の特約や容認事項で記載するのではなく『地位承継の覚書』も活用してください。
また取引に応じて、『地位承継の覚書』では整合性が取れない場合や、項目が不足している場合は『地位承継の覚書』を参考に内容を変更して活用してください。



※記事の中でメールマガジンという表記が出てきますが、このページは、会員向けに定期的に発信されているメールマガジンを集約したページとなっております。