書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』③|取引士向けお役立ち情報|取引士向けお役立ちコンテンツ|一般社団法人 投資不動産流通協会

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2022年06月16日

書類作成の意義『売買契約における賃貸人の地位承継』③


今回も、不動産売買契約における賃貸人の地位承継に関する書類『不動産売買契約における賃貸人の地位承継に係る覚書(以下『地位承継の覚書』)』のポイントについて説明します。

この書類は売主から買主が賃貸人としての地位の確定だけでなく、「賃貸借契約」を引継ぐということも意味します。そして売買契約書と連動して賃借人の「賃貸契約」を引継ぐにあたり、売買契約書では賄いきれない事項を補完する意義も持ち合わせています。

<ポイント>
『地位承継の覚書』条文の抜粋 -----

第3条(賃貸人の変更の連絡)

1.賃貸人の変更通知は甲及び乙はそれぞれが署名、捺印をした書面をもって甲の責任と負担にて各賃借人に通知をします。

2.各賃借人に賃貸借契約上の保証人がいる場合、この保証人に対しても同様に通知します。

(※売主:甲、買主:乙)

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売主と買主の間で地位の承継が確定しても賃貸借契約の主人公である賃借人は所有者が変わったことを知りません。誰かが賃借人に連絡(通知)しなければなりません。
この『地位承継の覚書』では売主に賃貸人の変更の連絡を義務化しています。
賃借人の立場から見れば、新所有者は、賃貸借契約時の大家さんでなく、全くの見ず知らずの人です。このような要因を踏まえて、大家さんであった売主から連絡をしてもらうことが自然であり、賃借人に不信感を与えないためにも売主から連絡してもらう取決めにしています。

投資不動産売買は、売買契約書だけでは賄いきれない賃貸契約に付随する内容があります。無理に売買契約書の特約や容認事項で記載するのではなく『地位承継の覚書』も活用してください。



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