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ニュース&トピックス

2017年03月08日

~民泊新法、概要明らかに~

民泊新法について記載されています。
今後、民泊をビジネスにつなげていくうえで、重要な情報ですので、ご覧になってください。

<週刊住宅新聞 2月27日号より>

民泊新法、概要明らかに、上限は稼働180泊に、条例で引き下げも可能、企画力で競争生き抜く


今国会での成立を目指す民泊新法(住宅宿泊事業法)の概要が分かった。上限日数は実際に利用した日数でカウントし、180泊(180日)に設定する。都道府県などの自治体が生活環境の悪化を防ぐためなど地域の実情に応じて、条例で日数を制限できるようにする。実際に営業した日数を確認する方法としては、家主が専用サイト上などに入力する方法と同時に、仲介事業者のデータを利用するなどの方法を検討する。
国土交通省と観光庁は、自民党国土交通部会・厚生労働部会・観光立国調査会・IT戦略特命委員会合同会議で民泊新法の概要を2回にわたり説明した。
大筋での合意は得たものの、修正を求める意見が多く噴出。承認は持ち越しとなった。
民泊新法では、民泊物件の家主は、物件の住所や連絡先などを都道府県知事に届け出ることが必要になる。都道府県との協議により、政令市や中核市でも届け出を受け付けられるようにする。
家主は、衛生管理や騒音防止、近隣住民からの苦情などへの対応、宿泊者名簿の作成・備え付け、民泊を実施している旨と連絡先を明記した標識の設置などを義務付ける。
家主不在型の場合、家主は管理業者に管理を委託する必要がある。管理業者は国交省に登録し、衛生管理などを家主に代わって代行する。カギの引き渡しは、対面を基本とする。
民泊物件を仲介する仲介事業者は観光庁への登録が必要となり、宿泊者への契約内容の説明などを義務付ける。管理業者、仲介業者ともに所管官庁が監督し、立ち入り検査や改善勧告、登録取り消しなどの権限を持つ。
民泊の仲介事業者に規制を設けることは世界初となる。
法案成立後、営業上限日数を条例で変更する際の留意点などを示すガイドラインを作成する。条例で変更する際は下限日数を定めないものの、田村明比古・観光庁長官は「下限日数をゼロにすることは法律の意図から逸脱しており、適切ではない」との考え方を示した。
それぞれの地域で事情が大きく異なることから、法案や省令などではなくガイドラインで対応することにしたものの、同会議では、法律や省令で、明確な基準を求める意見が多く出た。
民泊が広がることで、旅館の経営が悪化したり、家賃低下などで近隣の投資物件の資産価値を損うことなどが危惧されることから、条例制定の根拠に地域経済への影響を加えることを求める声もあった。
民泊を禁止できるエリアの設定を求める意見に対しては、特別用途地区などを活用する方法も視野に入れる。
政府の規制改革推進会議も条例による営業日数制限に対して、過剰な規制にならないことを求めている。
このほか住宅宿泊事業法という名称に関しても異議が多かったことから変更を含めて検討する。
合同会議は、厚生労働省が進めている旅館業法改正案との兼ね合いを確かめる必要があるとして、両案を検討した上で承認することとした。

●実状に合った制度/模索する自治体
違法・合法を問わずに、すでに多くの民泊物件が流通していることから、新法制定を見据えて事前に対応に備える自治体も現れている。
東京都新宿区は民泊新法の制定後、速やかに対応できるように、事前に区独自の民泊認定ルール策定に向けた方向性を示した。
区は禁止区域の指定・変更・解除ができる。民泊事業者に対して近隣住民への説明に加えて、特区民泊などに盛り込んでいない所管の警察署や消防署、その他関係機関とも事前協議することを求めることなどを想定。新法の行く末を注視する。
京都市は、民泊に関する考え方を表明。国に対して地域の実情に応じて独自の制度設計をできる制度とするように要望したほか、京都らしさを生かした民泊を奨励するなどの誘致に関する方針を掲げた。

■特区民泊、各エリアで独自対応

特区民泊は、国家戦略特別区域法で定めた規制緩和メニューのひとつで、15年12月に東京都大田区が全国で初めて関連条例を制定。16年1月に事業者受付を始めた。その後、同年4月に大阪府、10月に大阪市、17年1月に北九州市でも受け付けを始めた。
22日時点で、大田区は24事業者(うち個人6人)が運営する31施設・108室を認定。34市町村で実施している大阪府は4事業者(同1人)の4施設・6室を、大阪市は25事業者(同4人)の33施設・72室を認定した。
17日時点での滞在実績を見ると、大田区が498人(うち外国人301人)、大阪府が63人(同57人)、大阪市が72人(同63人)と、狙い通りに外国人の利用者が多いことが分かる。
当初は6泊7日としていた最低宿泊日数の規定を昨年10月、2泊3日に改正したことを受けて、大阪府と大阪市は昨年12月、2泊3日に条例を改正した。
大阪市では、条例改正前の2カ月間で19件だった申請が、改正後の1カ月半で29件に増えた。
一方、大田区は現在のところ条例を改正する予定はなく、6泊7日のままとなっている。
大田区の担当者は「特区民泊を始めてからちょうど1年が経ったため、検証作業の準備を進めている。認定事業者や利用実績も順調に伸びていることから、民泊新法の動向やホテル・旅館業界などとの共存共栄なども踏まえつつ、検証結果を基に宿泊日数を変更するかどうかを検討する」と話した。
北九州市は、ほかの特区とは一線を画した取り組みを始めた。
特区民泊を、地方創生の一環として組み込み「自然体験」と「地域住民との交流」を目的とした取り組みに位置付けた。このため、認定事業者の責務に「豊かな自然との触れあい、または市民と交流する機会を積極的に設けるよう努めること」を規定した。
小倉市中心部に近く自然が豊かな郊外にエリアを限定する一方、多くの特区民泊で認めていない住居専用地域と市街化調整区域での民泊運営を許可した。
独自企画で商品の差別化を図るなど、民泊間の競争も激しくなっている。

●企画力で競争生き抜く
とまれる(東京都千代田区、三口聡之介社長)が、大阪市で特区民泊第1号の認定を取得した中央区島之内の「SJアパートメント大阪なんばA」は、民泊ならではの滞在型宿泊スタイルを提案する。
離乳食作りやベビー服の洗濯などができる乳児・幼児連れ家族向け「ファミリー・フレンドリー施設」として企画。ベビーカーやバスチェア、授乳用クッションなども備えた。最大宿泊人数は5人で宿泊料金は5800円。
Share Japan(東京都豊島区、高橋延明社長)が手掛ける「羽田民芸ホテル」(大田区羽田)は、築古の戸建賃貸をリノベーション。こけしをくり抜いた手製の照明を設置したり、壁一面に凧やのぼり旗を飾るなど、和のテイストで演出した。1棟丸ごとを1泊2万円で貸し出し、最大8人まで宿泊できる。


情報提供:株式会社週刊住宅新聞社

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