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ニュース&トピックス

2017年03月22日

~住宅への採用急加速、IoT内容も多様化~

IoTについて掲載されていますのでご覧になってください。

<週刊住宅新聞 3月13日号より>

住宅への採用急加速、IoT内容も多様化、警備や家電音声操作

住宅へのIoT(Internet of Things=物をインターネットに接続して操作・制御する技術)採用が急速に進み、内容も多様化している。東日本大震災後、大手住宅メーカーを中心にHEMSを利用したエネルギー管理システム導入が広がり、さらなる機能として家電制御や遠隔警備システム採用が始まった。新たな付加価値として健康管理システムの開発・採用も始まっている。これまで新築持ち家がほとんどだったが、賃貸住宅でも採り入れる企業が出てきた。

■賃貸は長期入居狙う

賃貸住宅では、まず業者間の利便性向上を目的に遠隔操作できるスマートロックが採用された。仲介会社や個人の客が管理する空室物件を内覧するとき、鍵を預けている提携仲介会社を訪れる必要がなくなる。東急住宅リースが2015年8月に、三菱地所が16年年明けに始め、いつでも内覧できるため内覧機会拡大につながるとして順次対応物件を増やしている。
入居者満足度を高める目的での採用もある。投資利回りを重視する賃貸では入居者向け設備・機器を削ったりコストダウンしがちだが、入居者獲得競争が激しくなる中で差別化策としてIoTを利用して付加価値を高め長期入居につなげる。
新築アパート経営に特化したサイト「タテル」を運営するインベスターズクラウド(東京都港区、古木大咲社長)は15年9月、自社が供給する新築アパートへのIoT機器「タテルキット」搭載を始めた。
当初の機能は室内に設置したタブレットがスマートフォンと連動して、外出先から来訪者動画を見ながら受話応答や不在時の室内確認など行うことができるスマートドアホンのみだった。その後、外出先から照明の明るさやエアコンの温度調整などをできるようにしたほか、セキュリティセンサーの開発に着手した。窓やドアの開閉を感知して不審者などの侵入をスマートフォンに通知し、利用者はスマホ上で室内外の様子を確認したり静止画の撮影・録画をできるようにする。
レオパレス21は16年10月から全新築物件にIoTを採用した。機器コントロール装置の開発を手掛けるグラモ(東京都豊島区、後藤功社長)と共同でスマートフォンによる家電制御機器「レオリモコン」を開発し、全物件に搭載する。
備え付けの家電や入居者が所有する赤外線リモコン対応家電をスマートフォンで遠隔操作でき、室内の温度や湿度、明るさを表示できる。外出先から自宅の温度や照度の情報を見てエアコンや照明を操作したり、料理中など手が離せないときに音声で機器を操作できる。タイマー機能もあり、期間を指定してエアコンの運転などが可能。約540戸に導入した。

■健康管理、在宅介護も計画

エネルギーや家電制御、セキュリティに続く段階としてIoTによる具体的な生活提案や健康管理システムの開発や導入も出てきた。
大和ハウス工業が神奈川県藤沢市で手掛けるマンション「プレミスト湘南辻堂」(914戸)は、身に着けて持ち歩ける端末のウェアラブルデバイスなどを用いたIoT技術や人工知能と、大和ハウスグループのスポーツクラブが監修する運動メニュー提案などのソフトサービスを融合したヘルスプロモーションサービスを採用する。
共用施設などに設けるセンサーやデバイス、入居者が身に付けるウェアラブルデバイスから取得したデータをクラウドサーバーに集約・解析し、スマートフォンやタブレットで自身の健康状態を確認できる。敷地内に設けるジムやウオーキングコースでも住人の健康データを計測し、最適な運動メニューを提案する。集めるデータや表示する健康状態の項目は現在検討している。竣工はA敷地404戸が18年12月でB敷地510戸は未定。 LIXILは「LIXIL IoT Houseプロジェクト」を進め、実証実験施設を17年中に竣工する。健康チェックや収納効率化、家事省力化、家族コミュニケーションなど生活の質のレベルアップにつながるものの開発を目指す。
さらに在宅介護・医療支援や共働き・在宅ネットワーク支援、独居者サポートシステムの開発も視野に入れる。

●食事提案も
三菱電機は高性能センサーと家電、住宅設備を連携して生活をサポートする「三菱電機スマートホーム」システム開発を進める。住み手一人ひとりの「心理的なストレスを感じない快適で気持ちのいい生活」を追求するとして、健康管理と食事提案を計画する。
家族の健康を管理するため、玄関ドアハンドルを握ると体温や脈拍などの情報をセンサーが取得し、機器が体調を分析。家族全員の健康状態を玄関の壁面に表示し、各自が家族の健康状態を知ることができる。機器を通じて集めた体調などの情報を冷蔵庫に送り、中にある食材でできる推奨献立を扉に表示する。

■懸念は情報保護/積水ハウスなどが検討会発足

経済産業省は1日、これから住宅産業にIoT技術がどう採用されるかをまとめた報告書「スマートホームにおける現状と将来像の実現に向けた検討の方向性について」を発表した。報告書では「今後、家庭内で連携する機器が増え取得できるデータの量・質が向上することで、医療サービスや高度な見守り、製品ライフサイクルにおける改善などの新サービスが可能になる」とする。一方で将来課題をセキュリティやプライバシーの確保、取り扱いとしている。
報告書発表の同日、積水ハウスはNTTデータなど5社共同でIoT活用に当たり家電機器のハッキングなどセキュリティ対策実現を目指す「セキュアIoTアライアンス」を立ち上げた。IoTに不可欠な半導体やデバイスメーカーのほか、住宅や家電、自動車などでのセキュリティ対策の指針策定を予定する。

情報提供:株式会社週刊住宅新聞社

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