『全国賃貸住宅新聞 2月11日号より』スマートデイズ問題で初、業務改善を指示国土交通省関東地方整備局は近く『かぼちゃの馬車』シェアハウスの販売会社に行政処分を下す。同シェアハウス985件に融資を行っていたスルガ銀行(静岡県沼津市)に対しては、金融庁が2018月10月に業務停止命令を出したが、販売会社に対する処分は本件が初。今後は、シェアハウスの案件だけに関わらず、与信資料の改ざんを行った不動産会社への処分が出てくる可能性もある。今回、行政処分を受けるのはフューチャーイノベーション(以下、FI社:東京都港区)。1日に、同社の新倉健太郎社長に対して国交省管轄担当が聴聞を行った。FI社は、倒産したスマートデイズ社のシェアハウスを建てる土地の斡旋をしており、与信資料の改ざんを行ったことが明らかになっている。国交省によると少なくとも5件の改ざんが認められているが、総数は不明だ。同社は都内と静岡県沼津市に計3拠点を構えており、宅建業免許が国土交通大臣の免許のため国交省が処分を決めた。国交省は宅建業法65条1項の「業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき」に該当するとし、業務改善の指示を行う。国交省土地建設産業局不動産業課は「報道などでFI社が取り上げられたこともあり、同社への調査を実施した」と話した。その結果、与信資料の改ざんの事実が判明したため、処分が決定したという。本件では業務改善の指示に留まり、業務停止には至らない。本紙はFI社に取材を試みたが連絡が取れない状態が続いている。家主から販売会社の実態を聞いた。16年秋にFI社の紹介で土地を購入しシェアハウス2棟を建てたAオーナーは「不動産投資に興味があり、収益不動産ポータルサイトで1棟アパートに問い合わせをしたのが最初」と振り返った。FI社の担当者に「このアパートは現金でしか買えない。他の案件を紹介する」と言われ、会った時に『かぼちゃの馬車』シェアハウスを紹介された。担当者は30年間サブリース家賃が保証されており、リスクはないと説明。上京してくる女性の就労支援にもなるとも言われ、購入を決めた。スルガ銀行の融資しか付けられないパッケージで、自己資金が要らないという。融資審査の際には、与信資料として異なる金融機関の紙の通帳コピー3冊分をFI社に提出。FI社から「スルガ銀行に出しておく」と言われた。18年1月にサブリース会社のスマートデイズが破産。その後スルガ銀行に、与信資料の開示を求めると、通帳のコピーは1冊分のみで、通帳の残高は1ケタ増え、数百万円だったのが数千万円に変えられていた。Aオーナーは「行政処分は当然だが、処分の内容が軽すぎる」と怒りをあらわにした。さらにスルガ銀行に対しても、「不動産会社と結託し、不正行為の土壌を作ったからここまで問題化した」と主張し同行への責任追及も進めていく。
国交省は今後も、オーナーからの情報提供があれば調査を進め、同様に契約賃料の改ざんを行い販売した不動産会社を処分する可能性があるという。スルガ銀行の第3者委員会報告によると『かぼちゃの馬車』シェアハウスの販売会社だけでも84社にのぼる。シェアハウス以外では、アパート販売のTATERU(タテル‥東京都渋谷区)が、顧客の預金残高の改ざんが実行されたと認定する案件が350件あったことを発表している。 国交省の担当者はTATERUへの処分に対して「可能性は否定できない」と話した。国は処分を不正行為の抑止につなげていきたい考えだが、不動産会社による不正の根絶には、まだほど遠い。< 全国賃貸住宅新聞 2月11日号より >全国賃貸住宅新聞 掲載URLhttps:// www.zenchin.com/news/post-4181.php
情報提供:株式会社 全国賃貸住宅新聞社
『全国賃貸住宅新聞 2月11日号より』
スマートデイズ問題で初、業務改善を指示
国土交通省関東地方整備局は近く『かぼちゃの馬車』シェアハウスの販売会社に行政処分を下す。
同シェアハウス985件に融資を行っていたスルガ銀行(静岡県沼津市)に対しては、金融庁が2018月10月に業務停止命令を出したが、販売会社に対する処分は本件が初。
今後は、シェアハウスの案件だけに関わらず、与信資料の改ざんを行った不動産会社への処分が出てくる可能性もある。
今回、行政処分を受けるのはフューチャーイノベーション(以下、FI社:東京都港区)。1日に、同社の新倉健太郎社長に対して国交省管轄担当が聴聞を行った。
FI社は、倒産したスマートデイズ社のシェアハウスを建てる土地の斡旋をしており、与信資料の改ざんを行ったことが明らかになっている。
国交省によると少なくとも5件の改ざんが認められているが、総数は不明だ。
同社は都内と静岡県沼津市に計3拠点を構えており、宅建業免許が国土交通大臣の免許のため国交省が処分を決めた。
国交省は宅建業法65条1項の「業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき」に該当するとし、業務改善の指示を行う。
国交省土地建設産業局不動産業課は「報道などでFI社が取り上げられたこともあり、同社への調査を実施した」と話した。その結果、与信資料の改ざんの事実が判明したため、処分が決定したという。
本件では業務改善の指示に留まり、業務停止には至らない。本紙はFI社に取材を試みたが連絡が取れない状態が続いている。
家主から販売会社の実態を聞いた。16年秋にFI社の紹介で土地を購入しシェアハウス2棟を建てたAオーナーは「不動産投資に興味があり、収益不動産ポータルサイトで1棟アパートに問い合わせをしたのが最初」と振り返った。
FI社の担当者に「このアパートは現金でしか買えない。他の案件を紹介する」と言われ、会った時に『かぼちゃの馬車』シェアハウスを紹介された。
担当者は30年間サブリース家賃が保証されており、リスクはないと説明。上京してくる女性の就労支援にもなるとも言われ、購入を決めた。
スルガ銀行の融資しか付けられないパッケージで、自己資金が要らないという。融資審査の際には、与信資料として異なる金融機関の紙の通帳コピー3冊分をFI社に提出。
FI社から「スルガ銀行に出しておく」と言われた。
18年1月にサブリース会社のスマートデイズが破産。その後スルガ銀行に、与信資料の開示を求めると、通帳のコピーは1冊分のみで、通帳の残高は1ケタ増え、数百万円だったのが数千万円に変えられていた。
Aオーナーは「行政処分は当然だが、処分の内容が軽すぎる」と怒りをあらわにした。さらにスルガ銀行に対しても、「不動産会社と結託し、不正行為の土壌を作ったからここまで問題化した」と主張し同行への責任追及も進めていく。
国交省は今後も、オーナーからの情報提供があれば調査を進め、同様に契約賃料の改ざんを行い販売した不動産会社を処分する可能性があるという。
スルガ銀行の第3者委員会報告によると『かぼちゃの馬車』シェアハウスの販売会社だけでも84社にのぼる。
シェアハウス以外では、アパート販売のTATERU(タテル‥東京都渋谷区)が、顧客の預金残高の改ざんが実行されたと認定する案件が350件あったことを発表している。
国交省の担当者はTATERUへの処分に対して「可能性は否定できない」と話した。
国は処分を不正行為の抑止につなげていきたい考えだが、不動産会社による不正の根絶には、まだほど遠い。
< 全国賃貸住宅新聞 2月11日号より >
全国賃貸住宅新聞 掲載URL
https:// www.zenchin.com/news/post-4181.php
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