政府の2020年度補正予算が4月30日、成立した。総額は25.6兆円で、政府が先にまとめた、新型コロナウイルスの影響を食い止めるための「緊急経済対策」の財源を手当てするものだ。不動産オーナーにとっても関係が深い政策が多く、改めて内容をおさらいしたい。まず、「持続化給付金」をみてみよう。新型コロナの影響で売り上げが半減した中堅・中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を給付する支援策だ。不動産経営も家賃収入などが半減すればあてはまるので、利用を考えたい。申請は原則オンラインで、すでに受け付けされ、5月8日に給付が始まった。詳しくみると、資本金10億円未満もしくは従業員数が2000人以下の企業や個人事業主のうち、今年1~12月のいずれかの月の売り上げが、前年同月と比べ50%以上減っていることが条件となる。経費などを差し引いた後の利益でなく、売り上げが対象となっていることがポイントだ。給付額は、50%以上減った月の売り上げに12をかけた額を、前年1年間の売り上げから引いた額。中小企業は最大200万円、個人事業主は最大100万円まで受けられる。給付を受けるには、基本的に、2019年以前に企業などを設立している必要がある。給付金目当てで会社を作ったりする不正を避けるためだが、特例措置もある。申請の際は、証拠書類として、確定申告書類や売上台帳などが必要となる。もっとも、給付を受けるための収入要件を満たすのは難しいとの声もある。不動産オーナーではないが、筆者の知人の喫茶店経営者は、「うちも売り上げが減った。ただ、50%まで減っていないので、給付金がもらえない。収入半減というハードルは、かなり高い」と嘆いていた。このように、もし「持続化給付金」を受ける要件を満たすことができないなら、「実質無利子・無担保融資」を利用することを考えてみよう。もともと日本政策金融公庫などの政策金融で手掛けていたが、5月1日から、3メガバンクや地方銀行、信用金庫などの民間でも取り扱いが始まった。お金をもらえる「給付金」でなく「融資」なので、お金を返す必要があることに注意が必要だ。融資の上限額は3000万円。売上高が5%減るといった要件を満たせば、初めの3年間、利子や保証料が減免される。融資期間は10年間で、元本の返済は最大5年、先延ばしできる。都道府県によって仕組みが異なり、金融機関に利子分が支払われる方式と、利用する人がまず利子を支払い、後で返金される仕組みの二通りがある。「住居確保給付金」は休業でもOKに 支給は最長9カ月、オーナーに振り込み
新型コロナで収入が減って賃料の支払いが難しくなった借主には、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」を勧めてみよう。申請をするのは借主だが、給付金は直接、オーナーの口座に振り込まれる。一定の要件を満たした人に関し、自治体が原則3カ月間、最長で9カ月間、一定額を上限に、家賃相当額を支給する。市区町村や社会福祉法人が運営する窓口で取り扱う。これまでは、離職や廃業をし、収入や預貯金が一定額を下回った人が、ハローワークを通じて就職活動をするといった要件を満たさなければならなかった。今回は新たに、離職や廃業に至っていなくてもよくなり、休業で収入が減った人やフリーランスの人にも対象が広げられた。支給される額は自治体によって違う。たとえば東京23区のケースだと、単身世帯で月収13万8000円、預貯金50万円以下の場合、5万3700円が原則3カ月間(最長9カ月間)、支給されることが想定されている。このほか、1人あたり10万円を配る「特別定額給付金」を見ておこう。不動産経営には直接、関係はないが、住民基本台帳に記載された国民すべてがもらえるものなので、確実に給付を受け、なんらかの損失が出たりした場合に補うことへ役立てたい。具体的には、世帯主が市区町村から郵送される申請書に口座番号などを記して送り返すか、オンラインでマイナンバーカードを使って申請するかの2通りの方法がある。申請するのは基本的に世帯主で、家族分の金額が世帯主の金融機関口座に振り込まれる。たとえば、4人家族なら、10万円×4人分で40万円もらえることになる。外国人も対象だ。給付されるのは、4月27日時点で住民基本台帳に載っている人だ。送られてくる申請書には、世帯のメンバー全員の名前や給付される総額が印字されてある。この申請書に振り込んでほしい口座番号を記し、通帳のコピーと、運転免許証といった本人確認書類のコピーをつけて送り返す。オンラインでの申請は、「マイナポータル」というサイトに入って口座番号を入力し、口座番号を確認できる通帳、キャッシュカードの写真などをアップロードする。電子署名するため、マイナンバーカードが必要だが、本人確認書類はいらない。いつから申請を始め、いつお金が給付されるかは、市区町村に任されている。すでに受付が始まっている自治体もあるが、世帯の多い自治体では、6月にずれこみそうだ。まずは正確な情報を、お住まいの市区町村に確かめていただきたい。与党の賃料支援案は3分の2を助成中小は上限50万円、2次補正で財源最後に、5月4日配信の「新型コロナ 賃料支援、与野党案出そろう 自民案は金融機関の融資を国が補填へ」で紹介した与党案が、どんな形で決着したかみておこう。自民、公明の両党は最終的に8日に合意し、安倍晋三首相に提言を手渡した。自公の案を併記しており、新型コロナの影響で大きく減収した事業者に対して、賃料の3分の2を国が助成することを柱としている。助成は半年間。上限は中小事業者が50万円、個人事業主25万円となっている。要件は、前年同月比での収入の半減。3カ月で30%落ち込んだ場合も含めるよう求めた。加えて、自治体による独自の賃料対策を支援することも盛り込んでいる。6月からの支給スタートを目指す。政府は与党案にもとづいて賃料支援策をまとめ、必要な財源を、次に成立を目指す2020年度第2次補正予算で手当てしたい考えだ。不動産オーナーとしても自分の経営に大きくかかわる問題だけに、しっかり注目していきたい。
『健美家ニュース 2020年5月10日より』
詳しくはこちら↓
https://www.kenbiya.com/ar/ns/policy/subsidy/4014.html
収入半減の個人事業主は最大100万円 申請はオンライン、5月8日に給付開始
政府の2020年度補正予算が4月30日、成立した。総額は25.6兆円で、政府が先にまとめた、新型コロナウイルスの影響を食い止めるための「緊急経済対策」の財源を手当てするものだ。不動産オーナーにとっても関係が深い政策が多く、改めて内容をおさらいしたい。
まず、「持続化給付金」をみてみよう。
新型コロナの影響で売り上げが半減した中堅・中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を給付する支援策だ。不動産経営も家賃収入などが半減すればあてはまるので、利用を考えたい。申請は原則オンラインで、すでに受け付けされ、5月8日に給付が始まった。
詳しくみると、資本金10億円未満もしくは従業員数が2000人以下の企業や個人事業主のうち、今年1~12月のいずれかの月の売り上げが、前年同月と比べ50%以上減っていることが条件となる。経費などを差し引いた後の利益でなく、売り上げが対象となっていることがポイントだ。
給付額は、50%以上減った月の売り上げに12をかけた額を、前年1年間の売り上げから引いた額。中小企業は最大200万円、個人事業主は最大100万円まで受けられる。
給付を受けるには、基本的に、2019年以前に企業などを設立している必要がある。給付金目当てで会社を作ったりする不正を避けるためだが、特例措置もある。申請の際は、証拠書類として、確定申告書類や売上台帳などが必要となる。
もっとも、給付を受けるための収入要件を満たすのは難しいとの声もある。不動産オーナーではないが、筆者の知人の喫茶店経営者は、「うちも売り上げが減った。ただ、50%まで減っていないので、給付金がもらえない。収入半減というハードルは、かなり高い」と嘆いていた。
このように、もし「持続化給付金」を受ける要件を満たすことができないなら、「実質無利子・無担保融資」を利用することを考えてみよう。
もともと日本政策金融公庫などの政策金融で手掛けていたが、5月1日から、3メガバンクや地方銀行、信用金庫などの民間でも取り扱いが始まった。お金をもらえる「給付金」でなく「融資」なので、お金を返す必要があることに注意が必要だ。
融資の上限額は3000万円。売上高が5%減るといった要件を満たせば、初めの3年間、利子や保証料が減免される。融資期間は10年間で、元本の返済は最大5年、先延ばしできる。
都道府県によって仕組みが異なり、金融機関に利子分が支払われる方式と、利用する人がまず利子を支払い、後で返金される仕組みの二通りがある。
「住居確保給付金」は休業でもOKに 支給は最長9カ月、オーナーに振り込み
新型コロナで収入が減って賃料の支払いが難しくなった借主には、家賃相当額を支給する「住居確保給付金」を勧めてみよう。申請をするのは借主だが、給付金は直接、オーナーの口座に振り込まれる。
一定の要件を満たした人に関し、自治体が原則3カ月間、最長で9カ月間、一定額を上限に、家賃相当額を支給する。市区町村や社会福祉法人が運営する窓口で取り扱う。
これまでは、離職や廃業をし、収入や預貯金が一定額を下回った人が、ハローワークを通じて就職活動をするといった要件を満たさなければならなかった。今回は新たに、離職や廃業に至っていなくてもよくなり、休業で収入が減った人やフリーランスの人にも対象が広げられた。
支給される額は自治体によって違う。たとえば東京23区のケースだと、単身世帯で月収13万8000円、預貯金50万円以下の場合、5万3700円が原則3カ月間(最長9カ月間)、支給されることが想定されている。
このほか、1人あたり10万円を配る「特別定額給付金」を見ておこう。不動産経営には直接、関係はないが、住民基本台帳に記載された国民すべてがもらえるものなので、確実に給付を受け、なんらかの損失が出たりした場合に補うことへ役立てたい。
具体的には、世帯主が市区町村から郵送される申請書に口座番号などを記して送り返すか、オンラインでマイナンバーカードを使って申請するかの2通りの方法がある。
申請するのは基本的に世帯主で、家族分の金額が世帯主の金融機関口座に振り込まれる。たとえば、4人家族なら、10万円×4人分で40万円もらえることになる。外国人も対象だ。給付されるのは、4月27日時点で住民基本台帳に載っている人だ。
送られてくる申請書には、世帯のメンバー全員の名前や給付される総額が印字されてある。この申請書に振り込んでほしい口座番号を記し、通帳のコピーと、運転免許証といった本人確認書類のコピーをつけて送り返す。
オンラインでの申請は、「マイナポータル」というサイトに入って口座番号を入力し、口座番号を確認できる通帳、キャッシュカードの写真などをアップロードする。電子署名するため、マイナンバーカードが必要だが、本人確認書類はいらない。
いつから申請を始め、いつお金が給付されるかは、市区町村に任されている。すでに受付が始まっている自治体もあるが、世帯の多い自治体では、6月にずれこみそうだ。まずは正確な情報を、お住まいの市区町村に確かめていただきたい。
与党の賃料支援案は3分の2を助成
中小は上限50万円、2次補正で財源
最後に、5月4日配信の「新型コロナ 賃料支援、与野党案出そろう 自民案は金融機関の融資を国が補填へ」で紹介した与党案が、どんな形で決着したかみておこう。
自民、公明の両党は最終的に8日に合意し、安倍晋三首相に提言を手渡した。自公の案を併記しており、新型コロナの影響で大きく減収した事業者に対して、賃料の3分の2を国が助成することを柱としている。
助成は半年間。上限は中小事業者が50万円、個人事業主25万円となっている。要件は、前年同月比での収入の半減。3カ月で30%落ち込んだ場合も含めるよう求めた。加えて、自治体による独自の賃料対策を支援することも盛り込んでいる。6月からの支給スタートを目指す。
政府は与党案にもとづいて賃料支援策をまとめ、必要な財源を、次に成立を目指す2020年度第2次補正予算で手当てしたい考えだ。不動産オーナーとしても自分の経営に大きくかかわる問題だけに、しっかり注目していきたい。
『健美家ニュース 2020年5月10日より』
詳しくはこちら↓
https://www.kenbiya.com/ar/ns/policy/subsidy/4014.html