おはようございます、ぺんたです。新型コロナの流行で、今年の繁忙期は残念ながら不発に終わりました。退去されたお部屋は空いたままで、入居率は90%まで低下してしまったのです。昨年末までは97~98%ほどだったのでずいぶん苦戦している印象です。 しかしどんな環境下でも入居促進は諦められません。新型コロナ対策で厳戒態勢の大都市圏に比べて地方は比較的ユルい状態ですのでなおさら新型コロナを言い訳にできません。そこで今回は入居率アップについての私の基本的な考え方を整理してお伝えしますね。 ■ 引越し需要は1年中ある! 最初に申しあげておきたいのは、引越の需要は1年を通じてまんべんなくある! という事実です。下のグラフはサカイ引越センターさんのIR情報から拝借した月別の引越件数グラフ( 緑の棒グラフ )です。 繁忙期の3月と4月が特異的に高い引越件数で、それ以外の月はほぼ平準なグラフになっています。 例えば管理会社さんに「 なぜうちの物件はお申し込みを頂けないのでしょうか? 」と質問した場合、「 いまは引越しが少ない時期ですからしばらく様子を見ましょう 」などと言われることが多いですよね。 しかし繁忙期に比べると確かに引越件数は少ないですが、年間を通じてコンスタントにお引っ越し需要はあります。むしろ平常月が標準的な月で、3月・4月が異常値だとも言えます。 そのような事実から私は、「 平常月にも引越はコンスタントにあるのだから、入居が進まないということは自分が他の大家さんに競り負けているのだ 」と思うようにしています。自分を甘やかさないようにしているのです(^_^; ■ 入居対策の3つの軸 さて、ここから本題です。私は電機メーカーの営業職を振り出しに、その後、数社で不振事業の立て直しを経験してきました。その中で気付いたことは、 「 異なる業種であっても、経営改善の切り口はよく似ている 」 ということです。もちろん大家業においても同じだと思っています。それを模式的に表したのが次の図です。 現在は賃貸住宅が余っているのでお客さんのニーズを満たす「 良い商品 」でなければ入居していただけません。それが「 商品力 」です。商品力の強化はイロハのイです (^^ ) またどんなに良い商品を作ったとしても一切広告をせず、お客様の目に触れなければやはり売れません。「 広告リーチ 」はいわゆる宣伝活動です。 良い商品を作って広告もバンバン掲載しても、お客様が仲介業者さん( 管理会社さん )の店頭に出向いたときに、「 もっと良い物件がありますから、そちらをお勧めします! 」と横振りをかけられてしまっては元も子もありません。 うちの物件を積極的に勧めてくれるような販売力を、きちんと確保できていることも必要です。 これら3つの軸のどれひとつ欠けても契約は取れないので、3つとも同時に高い水準を維持することが入居付けのためにすごく大事だと私は思っています。 ■ 商品力を強化する 大家の会などで初心者の方とお話しすると、「 空室があって困っているのだけど、どこから手をつけて良いのかわかりません 」というお話を伺いますが、これら3つの軸で整理してみることをお勧めしています。 商品力というのは賃貸住宅において非常に広い概念です。最初に申しあげておきたいのは、大家さんがあとからどうにもできない欠点( 立地が悪い、居室が狭い等 )を抱えた物件には最初から手を出さない:買わないというのが大前提になります。 そのうえで広義の「 商品力 」を分解すると、次の4つに集約できると思います。
①から④の順番で競合物件と比較して行って、弱い部分があれば強化することで商品力は強化できます。 あ、ただしボロいまま格安賃料を武器に勝負する・・・というやり方もありますので、そこは大家さんの戦略次第であることを付言しておきますね(^^ ) ■ 広告リーチの改善 大都市では管理会社さん1社だけで主立った広告媒体全てに掲載することが可能と聞きますが、地方では残念ながらそういうところは稀です。管理会社さんだけに任せておくといきおい「 アットホームだけ 」とか「 SUUMOだけ 」になってしまいがちです。 ところがお客さんはそれぞれ好みの媒体が異なっているので、上のような状況では「 ホームズ 」や「 CHINTAI 」「 エイブル 」「 いい部屋ネット 」等他媒体を見るお客様に物件情報が届かなくなってしまいます。 入居付けが弱いと感じた場合、私はいろんな仲介業者さんに営業を仕掛けるのですが、その際出来るだけ多くの媒体にうちの物件が掲載されるようお願いしています。 すると露出が増えるので決まりやすくなります。( いわば広告の「 面展開 」でしょうか )。しかし、広告は奥が深いもので、単に「 面 」を確保しただけでは片手落ちです。 キャッチーなタイトルがついているかどうか、晴天時に撮影した写真が使われているかどうか、広角レンズで撮影されているかどうかなどで反響が変わってきますので、そこにも改善の手を入れていきます。( これは広告の「 質確保 」と言えるでしょう )
■ 一番難しい販売力の確保 最後になりますが、私個人としては販売力の確保=仲介業者さんが積極的にうちの物件を紹介してくれる環境を作る・・・のが一番難しいと思っています。 大都市ではドライにADを積み増すという手法が採られるのでしょうが、地方は義理人情の世界がまだ残っているからです。 例えば気に食わない大家の物件はいくら金を積まれても売らない・・・という方がいらっしゃったり、元付けの管理会社さんとの人間関係が良くないので扱わない・・・など、人間臭い世界なのです。 だから私は、「 威張らない 」「 怒らない 」「 相手の立場を尊重する 」「 自分に出来ることは何でもやる 」「 意思決定はすぐやる 」というスタンスでいろんな業者さんと徐々に仲良くなっていくようにしています。 時間がかかってしまうのですが、急がば回れで徐々にこの街で地盤が出来てきました。 とはいえ、言うときは言います。今年の繁忙期で空室が減らなかったことをある管理会社の社長に伝え冷静に改善を求めました。 後日提案された改善策はすべて即決し、要求にないことまで逆提案しました。これで本気になってくれたのでしょうか。初めて簡易的なステージングをやってくれました! その甲斐もあり、外出自粛の中でも4月中旬以降の一ヶ月ほどで7部屋のお申し込みを頂くことが出来ました。 市場環境を言い訳にせず、入居が進まない原因を整理して仮説を立て、大家自身が強い意志で対策を実行することが入居率アップにつながる・・・と私は思っているんですよね(^^ )
『健美家ニュース 2020年5月25日より』
詳しくはこちら↓
https://www.kenbiya.com/ar/cl/penta/57.html
おはようございます、ぺんたです。新型コロナの流行で、今年の繁忙期は残念ながら不発に終わりました。退去されたお部屋は空いたままで、入居率は90%まで低下してしまったのです。昨年末までは97~98%ほどだったのでずいぶん苦戦している印象です。
しかしどんな環境下でも入居促進は諦められません。新型コロナ対策で厳戒態勢の大都市圏に比べて地方は比較的ユルい状態ですのでなおさら新型コロナを言い訳にできません。そこで今回は入居率アップについての私の基本的な考え方を整理してお伝えしますね。
■ 引越し需要は1年中ある!
最初に申しあげておきたいのは、引越の需要は1年を通じてまんべんなくある! という事実です。下のグラフはサカイ引越センターさんのIR情報から拝借した月別の引越件数グラフ( 緑の棒グラフ )です。
繁忙期の3月と4月が特異的に高い引越件数で、それ以外の月はほぼ平準なグラフになっています。
例えば管理会社さんに「 なぜうちの物件はお申し込みを頂けないのでしょうか? 」と質問した場合、「 いまは引越しが少ない時期ですからしばらく様子を見ましょう 」などと言われることが多いですよね。
しかし繁忙期に比べると確かに引越件数は少ないですが、年間を通じてコンスタントにお引っ越し需要はあります。むしろ平常月が標準的な月で、3月・4月が異常値だとも言えます。
そのような事実から私は、「 平常月にも引越はコンスタントにあるのだから、入居が進まないということは自分が他の大家さんに競り負けているのだ 」と思うようにしています。自分を甘やかさないようにしているのです(^_^;
■ 入居対策の3つの軸
さて、ここから本題です。私は電機メーカーの営業職を振り出しに、その後、数社で不振事業の立て直しを経験してきました。その中で気付いたことは、
「 異なる業種であっても、経営改善の切り口はよく似ている 」
ということです。もちろん大家業においても同じだと思っています。それを模式的に表したのが次の図です。
現在は賃貸住宅が余っているのでお客さんのニーズを満たす「 良い商品 」でなければ入居していただけません。それが「 商品力 」です。商品力の強化はイロハのイです (^^ )
またどんなに良い商品を作ったとしても一切広告をせず、お客様の目に触れなければやはり売れません。「 広告リーチ 」はいわゆる宣伝活動です。
良い商品を作って広告もバンバン掲載しても、お客様が仲介業者さん( 管理会社さん )の店頭に出向いたときに、「 もっと良い物件がありますから、そちらをお勧めします! 」と横振りをかけられてしまっては元も子もありません。
うちの物件を積極的に勧めてくれるような販売力を、きちんと確保できていることも必要です。
これら3つの軸のどれひとつ欠けても契約は取れないので、3つとも同時に高い水準を維持することが入居付けのためにすごく大事だと私は思っています。
■ 商品力を強化する
大家の会などで初心者の方とお話しすると、「 空室があって困っているのだけど、どこから手をつけて良いのかわかりません 」というお話を伺いますが、これら3つの軸で整理してみることをお勧めしています。
商品力というのは賃貸住宅において非常に広い概念です。最初に申しあげておきたいのは、大家さんがあとからどうにもできない欠点( 立地が悪い、居室が狭い等 )を抱えた物件には最初から手を出さない:買わないというのが大前提になります。
そのうえで広義の「 商品力 」を分解すると、次の4つに集約できると思います。
②入居時の初期費用( 敷・礼ゼロ、仲介手数料・保証料大家負担など )
③特殊条件の容認( ペット・外国人・生活保護可など )
④賃料( 競合物件に比べて安い!笑 )
①から④の順番で競合物件と比較して行って、弱い部分があれば強化することで商品力は強化できます。
あ、ただしボロいまま格安賃料を武器に勝負する・・・というやり方もありますので、そこは大家さんの戦略次第であることを付言しておきますね(^^ )
■ 広告リーチの改善
大都市では管理会社さん1社だけで主立った広告媒体全てに掲載することが可能と聞きますが、地方では残念ながらそういうところは稀です。管理会社さんだけに任せておくといきおい「 アットホームだけ 」とか「 SUUMOだけ 」になってしまいがちです。
ところがお客さんはそれぞれ好みの媒体が異なっているので、上のような状況では「 ホームズ 」や「 CHINTAI 」「 エイブル 」「 いい部屋ネット 」等他媒体を見るお客様に物件情報が届かなくなってしまいます。
入居付けが弱いと感じた場合、私はいろんな仲介業者さんに営業を仕掛けるのですが、その際出来るだけ多くの媒体にうちの物件が掲載されるようお願いしています。
すると露出が増えるので決まりやすくなります。( いわば広告の「 面展開 」でしょうか )。しかし、広告は奥が深いもので、単に「 面 」を確保しただけでは片手落ちです。
キャッチーなタイトルがついているかどうか、晴天時に撮影した写真が使われているかどうか、広角レンズで撮影されているかどうかなどで反響が変わってきますので、そこにも改善の手を入れていきます。( これは広告の「 質確保 」と言えるでしょう )
②広告の「 質 」確保( 反響が得られる良質なコンテンツを載せてもらう )
■ 一番難しい販売力の確保
最後になりますが、私個人としては販売力の確保=仲介業者さんが積極的にうちの物件を紹介してくれる環境を作る・・・のが一番難しいと思っています。
大都市ではドライにADを積み増すという手法が採られるのでしょうが、地方は義理人情の世界がまだ残っているからです。
例えば気に食わない大家の物件はいくら金を積まれても売らない・・・という方がいらっしゃったり、元付けの管理会社さんとの人間関係が良くないので扱わない・・・など、人間臭い世界なのです。
だから私は、「 威張らない 」「 怒らない 」「 相手の立場を尊重する 」「 自分に出来ることは何でもやる 」「 意思決定はすぐやる 」というスタンスでいろんな業者さんと徐々に仲良くなっていくようにしています。
時間がかかってしまうのですが、急がば回れで徐々にこの街で地盤が出来てきました。
とはいえ、言うときは言います。今年の繁忙期で空室が減らなかったことをある管理会社の社長に伝え冷静に改善を求めました。
後日提案された改善策はすべて即決し、要求にないことまで逆提案しました。これで本気になってくれたのでしょうか。初めて簡易的なステージングをやってくれました!
その甲斐もあり、外出自粛の中でも4月中旬以降の一ヶ月ほどで7部屋のお申し込みを頂くことが出来ました。
市場環境を言い訳にせず、入居が進まない原因を整理して仮説を立て、大家自身が強い意志で対策を実行することが入居率アップにつながる・・・と私は思っているんですよね(^^ )
『健美家ニュース 2020年5月25日より』
詳しくはこちら↓
https://www.kenbiya.com/ar/cl/penta/57.html