不動産投資の税務基礎シリーズ30回目は、不動産所得と保険を活用した節税について解説する。
生命保険については、一般のサラリーマンの取扱いと変わらないが、地震保険・火災保険については、投資物件や事務所に掛けている部分を按分して不動産所得の必要経費とすることが可能だ。
中小企業者が加入できる小規模企業共済も、掛金が全額控除できる上、受取共済金を退職所得や公的年金所得扱いとすることができるため節税効果は高い。
■ 生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料、自宅の地震保険料については、不動産投資家であってもサラリーマンなどと同様の取扱いとなる。
生命保険料は、平成24年以降の新契約では、生命保険、介護保険、個人年金保険の保険料ごとにそれぞれ4万円を限度、合計で最大12万円を限度として支払保険料の一部が控除できる。
地震保険料は、5万円までは全額を控除できる。
いずれも本人が支払ったものに限られ、地震保険料は、対象となる家屋・家財が必ずしも本人ものである必要はないが、同一生計者のものである必要がある。
後で述べるが、投資用物件に対する地震保険料は控除できず、不動産所得の必要経費にすることになる
■ 不動産所得の必要経費との関係
不動産所得の必要経費は、不動産所得の収入、つまり賃貸料収入を得るために必要な支出に限られる。
そのため、保険料関係の支出では、基本的に投資用物件に掛けている火災保険や地震保険の保険料が必要経費の計上対象となる。
ただし、事業的規模の賃貸業で、事務所を設けて管理業務などを手掛けている場合、その事務所にかかる火災保険等の保険料を必要経費に計上することが可能だ。
自宅の一部を事務所にしている場合は、家事関連費との区別を明確にすることが求められるため、一般的には事務所部分の面積按分によって自宅建物全体の保険料を按分して計上することになる。
この場合、忘れがちなのが、按分して不動産所得の必要経費とした残りの地震保険料部分を地震保険料控除に入れる作業である。たとえば、自宅兼事務所建物の地震保険料の3割を不動産所得の必要経費にした場合、残り7割は地震保険料控除に算入することができる。
■ 受取保険金課税
受取保険金への課税は、保険の種類、保険料の支払者と保険金の受取人との関係によって様々に変わってくるので注意が必要だ。
生命保険の保険金は、一時金形式で受領した場合、一般的には一時所得として所得税がかかるが、保険料の支払者と受取人が異なる場合は、受取人に対して贈与税が課される。
また、死亡保険金を受け取った場合には、その受け取った相続人に相続税がかかることになる。ただし、死亡保険金であっても、保険料の支払者と受取人が同一の場合は一時所得として所得税課税となる。
年金形式で受領した場合は、雑所得として所得税がかかる。
火災保険などの損害保険金は、基本的に非課税だ。
しかし、これも例外があり、事業用建物に関する受取保険金は、損失額から差し引くこととなっている。
■ 小規模企業共済と節税
小規模企業共済は、独立行政法人が運営する中小企業者のための退職金制度で、老齢年金保険のように利用できる制度だ。個人の不動産投資家であっても、事業的規模であれば加入できる。
その掛金は生命保険料とは異なり、全額所得控除できるので民間の生命保険よりも節税効果が高い。
その上、保険金を受け取る際には、一定条件を満たすことで退職所得扱いにすることができるため、退職所得控除を使い節税することができる。
さらに、年金形式で受け取る場合には、公的年金等控除の対象となり、一定額までは非課税となる。
このように、節税の観点からは良い事尽くめにみえる小規模企業共済だが、そもそも、保険というのは資金を外部に拠出して長期間自分で活用しないスキームである。不動産投資家の場合、その分の資金を不動産投資に充てることができないことを意味する。
小規模企業共済についても、自分の投資計画と将来のリスクを天秤にかけて活用していくことを最優先に考えるべきだろう。
なお、過去の税務基礎シリーズに関してはコチラを参照して頂きたい。
引用:健美家https://www.kenbiya.com/ar/ns/tax/tax_basixs/9476.html
不動産投資の税務基礎シリーズ30回目は、不動産所得と保険を活用した節税について解説する。
生命保険については、一般のサラリーマンの取扱いと変わらないが、地震保険・火災保険については、投資物件や事務所に掛けている部分を按分して不動産所得の必要経費とすることが可能だ。
中小企業者が加入できる小規模企業共済も、掛金が全額控除できる上、受取共済金を退職所得や公的年金所得扱いとすることができるため節税効果は高い。
■ 生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険料、自宅の地震保険料については、不動産投資家であってもサラリーマンなどと同様の取扱いとなる。
生命保険料は、平成24年以降の新契約では、生命保険、介護保険、個人年金保険の保険料ごとにそれぞれ4万円を限度、合計で最大12万円を限度として支払保険料の一部が控除できる。
地震保険料は、5万円までは全額を控除できる。
いずれも本人が支払ったものに限られ、地震保険料は、対象となる家屋・家財が必ずしも本人ものである必要はないが、同一生計者のものである必要がある。
後で述べるが、投資用物件に対する地震保険料は控除できず、不動産所得の必要経費にすることになる
■ 不動産所得の必要経費との関係
不動産所得の必要経費は、不動産所得の収入、つまり賃貸料収入を得るために必要な支出に限られる。
そのため、保険料関係の支出では、基本的に投資用物件に掛けている火災保険や地震保険の保険料が必要経費の計上対象となる。
ただし、事業的規模の賃貸業で、事務所を設けて管理業務などを手掛けている場合、その事務所にかかる火災保険等の保険料を必要経費に計上することが可能だ。
自宅の一部を事務所にしている場合は、家事関連費との区別を明確にすることが求められるため、一般的には事務所部分の面積按分によって自宅建物全体の保険料を按分して計上することになる。
この場合、忘れがちなのが、按分して不動産所得の必要経費とした残りの地震保険料部分を地震保険料控除に入れる作業である。たとえば、自宅兼事務所建物の地震保険料の3割を不動産所得の必要経費にした場合、残り7割は地震保険料控除に算入することができる。
■ 受取保険金課税
受取保険金への課税は、保険の種類、保険料の支払者と保険金の受取人との関係によって様々に変わってくるので注意が必要だ。
生命保険の保険金は、一時金形式で受領した場合、一般的には一時所得として所得税がかかるが、保険料の支払者と受取人が異なる場合は、受取人に対して贈与税が課される。
また、死亡保険金を受け取った場合には、その受け取った相続人に相続税がかかることになる。ただし、死亡保険金であっても、保険料の支払者と受取人が同一の場合は一時所得として所得税課税となる。
年金形式で受領した場合は、雑所得として所得税がかかる。
火災保険などの損害保険金は、基本的に非課税だ。
しかし、これも例外があり、事業用建物に関する受取保険金は、損失額から差し引くこととなっている。
■ 小規模企業共済と節税
小規模企業共済は、独立行政法人が運営する中小企業者のための退職金制度で、老齢年金保険のように利用できる制度だ。個人の不動産投資家であっても、事業的規模であれば加入できる。
その掛金は生命保険料とは異なり、全額所得控除できるので民間の生命保険よりも節税効果が高い。
その上、保険金を受け取る際には、一定条件を満たすことで退職所得扱いにすることができるため、退職所得控除を使い節税することができる。
さらに、年金形式で受け取る場合には、公的年金等控除の対象となり、一定額までは非課税となる。
このように、節税の観点からは良い事尽くめにみえる小規模企業共済だが、そもそも、保険というのは資金を外部に拠出して長期間自分で活用しないスキームである。不動産投資家の場合、その分の資金を不動産投資に充てることができないことを意味する。
小規模企業共済についても、自分の投資計画と将来のリスクを天秤にかけて活用していくことを最優先に考えるべきだろう。
なお、過去の税務基礎シリーズに関してはコチラを参照して頂きたい。
引用:健美家https://www.kenbiya.com/ar/ns/tax/tax_basixs/9476.html