「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(新法)」が今年6月12日に参議院で、全会一致により成立したことで賃貸住宅ビジネスの新たな幕が上がろうとしている。
賃貸不動産経営管理士協議会は、国土交通省に8月20日、同新法において賃貸不動産経営管理士を積極的に活用することを要望書として提出した。
賃貸不動産経営管理士は、政省令に明記され、国家資格となるのが確実となっている。国も政省令に載った時点で国家資格とみなすことを承認しており、2021年3月に政省令に記載され、法体系に組み込まれて来年6月の法の施行で国家資格とみなされる。
新法の政省令では、管理業務者になる要件として、一定の講習を受けた「賃貸不動産経営管理士」または「宅地建物取引士」と併記する予定だ。将来的には管理業務ができるのを賃貸不動産経営管理士に一本化することも視野に入れている。
◎登録しないと200戸以上の管理業務できず
来年6月の施行を受けて管理業務の登録制度が開始される。1年間の猶予期間を設けて200戸以上を管理受託する場合は登録しないと管理業が営めなくなる。同法施行に当たり、既存の管理受託契約、つまり過去の契約には遡及して適用しない。国交省に新たに登録をすることになり、現行の任意の登録制度は廃止とする。
管理業務の定義と管理事務所の定義については、詳細を施行までに詰めるとしているが、苦情や相談内容を含む総合的な建物の維持管理業務を定義とする予定だ。その業務を行う場所が管理事務所と位置付けられる。一方、苦情を取り次いでいるだけの仲介店舗などは管理事務所とはみなされない。
登録した管理会社には次の4点の業務が発生する。
管理事務所に1人以上の業務管理者を設置する。管理会社は管理委託契約締結前に重要事項説明。従業員であれば誰でも説明可能。現行の任意登録制度で認められている重説の他社への委託は親会社であってもできない。大家ごとに通帳を分けて家賃管理する必要はないが、家賃等の分別管理が必要。帳簿やシステム上で、敷金や家賃などが分かるよう管理する。賃貸人に対する定期報告。詳細はこれから明らかになるが、毎月家賃の授受等を行っていれば、入金詳細等を示す、リフォーム、修繕等を行えば地帯なく報告等を行う――などが求められている。◎サブリースで誇大広告禁止、国交省ガイドライン10月中旬発表予定
サブリースは今年12月から施行される。それにより、サブリース事業者は次の3点の業務が発生する。
誇大広告の禁止。具体的な指針は国土交通省がガイドラインを10月中旬に発表する予定だ。広告だけでなく、自社のパンフレット作成やホームページ上の広告も対象。サブリース会社と勧誘者は、消費者を誤認させる勧誘が禁止となる。勧誘者とは、建築会社や投資マンションの販売会社などを想定しており、これらも規制対象とする。マスターリース契約(特定賃貸借契約)締結前に重要事項説明を行う。説明内容は借り上げ賃料や契約期間、賃料固定期間、管理業務の内容など。従業員であればだれでも説明できる。◎賃貸住宅の管理業務は経営管理士に統一へ
同協議会が国交省に8月20日に提出した要望では、管理業務を手掛けるのは、将来的に賃貸不動産経営管理士に統一することを求めている。同協議会の構成団体である日管協と全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会が宅地建物取引士と賃貸不動産経営管理士の役割の違いを認識し、3団体の総意として要望に踏み切った。
現在、賃貸不動産経営管理士の合格者数は約7万人で、登録者は5万人程度にとどまっているため、管理対象となる全国の賃貸戸数をすべてカバーすることが難しいことが想定されることから、当面は宅地建物取引士を活用することで新法の定着を担保する。
ただし、宅地建物取引士は、業務管理者になるには、最低の2年の実務経験もしくは同等以上の能力を有すると認められる講習の受講を要件として考慮すべきだとした。加えて、業務管理者になるための一定講習においては、宅地建物取引士には講習時間(2日間)と効果測定が必要としている。
一方で、賃貸不動産経営管理士には、講習時間や内容の軽減、もしくは講習自体の免除の検討を訴えている。これらを踏まえながら、宅地建物取引士が管理業務を担うには、講習・効果測定など一定の条件を5年間の時限措置とする予定だ。
ちみなに今年の「賃貸不動産経営管理士」の試験は11月15日に実施する予定だ。受験申し込みは9月24日までとなっている。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(新法)」が今年6月12日に参議院で、全会一致により成立したことで賃貸住宅ビジネスの新たな幕が上がろうとしている。
賃貸不動産経営管理士協議会は、国土交通省に8月20日、同新法において賃貸不動産経営管理士を積極的に活用することを要望書として提出した。
賃貸不動産経営管理士は、政省令に明記され、国家資格となるのが確実となっている。国も政省令に載った時点で国家資格とみなすことを承認しており、2021年3月に政省令に記載され、法体系に組み込まれて来年6月の法の施行で国家資格とみなされる。
新法の政省令では、管理業務者になる要件として、一定の講習を受けた「賃貸不動産経営管理士」または「宅地建物取引士」と併記する予定だ。将来的には管理業務ができるのを賃貸不動産経営管理士に一本化することも視野に入れている。
◎登録しないと200戸以上の管理業務できず
来年6月の施行を受けて管理業務の登録制度が開始される。1年間の猶予期間を設けて200戸以上を管理受託する場合は登録しないと管理業が営めなくなる。同法施行に当たり、既存の管理受託契約、つまり過去の契約には遡及して適用しない。国交省に新たに登録をすることになり、現行の任意の登録制度は廃止とする。
管理業務の定義と管理事務所の定義については、詳細を施行までに詰めるとしているが、苦情や相談内容を含む総合的な建物の維持管理業務を定義とする予定だ。その業務を行う場所が管理事務所と位置付けられる。一方、苦情を取り次いでいるだけの仲介店舗などは管理事務所とはみなされない。
登録した管理会社には次の4点の業務が発生する。
管理事務所に1人以上の業務管理者を設置する。
管理会社は管理委託契約締結前に重要事項説明。従業員であれば誰でも説明可能。現行の任意登録制度で認められている重説の他社への委託は親会社であってもできない。
大家ごとに通帳を分けて家賃管理する必要はないが、家賃等の分別管理が必要。帳簿やシステム上で、敷金や家賃などが分かるよう管理する。
賃貸人に対する定期報告。詳細はこれから明らかになるが、毎月家賃の授受等を行っていれば、入金詳細等を示す、リフォーム、修繕等を行えば地帯なく報告等を行う――などが求められている。
◎サブリースで誇大広告禁止、国交省ガイドライン10月中旬発表予定
サブリースは今年12月から施行される。それにより、サブリース事業者は次の3点の業務が発生する。
誇大広告の禁止。具体的な指針は国土交通省がガイドラインを10月中旬に発表する予定だ。広告だけでなく、自社のパンフレット作成やホームページ上の広告も対象。
サブリース会社と勧誘者は、消費者を誤認させる勧誘が禁止となる。勧誘者とは、建築会社や投資マンションの販売会社などを想定しており、これらも規制対象とする。
マスターリース契約(特定賃貸借契約)締結前に重要事項説明を行う。説明内容は借り上げ賃料や契約期間、賃料固定期間、管理業務の内容など。従業員であればだれでも説明できる。
◎賃貸住宅の管理業務は経営管理士に統一へ
同協議会が国交省に8月20日に提出した要望では、管理業務を手掛けるのは、将来的に賃貸不動産経営管理士に統一することを求めている。同協議会の構成団体である日管協と全国宅地建物取引業協会連合会、全日本不動産協会が宅地建物取引士と賃貸不動産経営管理士の役割の違いを認識し、3団体の総意として要望に踏み切った。
現在、賃貸不動産経営管理士の合格者数は約7万人で、登録者は5万人程度にとどまっているため、管理対象となる全国の賃貸戸数をすべてカバーすることが難しいことが想定されることから、当面は宅地建物取引士を活用することで新法の定着を担保する。
ただし、宅地建物取引士は、業務管理者になるには、最低の2年の実務経験もしくは同等以上の能力を有すると認められる講習の受講を要件として考慮すべきだとした。加えて、業務管理者になるための一定講習においては、宅地建物取引士には講習時間(2日間)と効果測定が必要としている。
一方で、賃貸不動産経営管理士には、講習時間や内容の軽減、もしくは講習自体の免除の検討を訴えている。これらを踏まえながら、宅地建物取引士が管理業務を担うには、講習・効果測定など一定の条件を5年間の時限措置とする予定だ。
ちみなに今年の「賃貸不動産経営管理士」の試験は11月15日に実施する予定だ。受験申し込みは9月24日までとなっている。