ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 75 日本不動産仲裁機構 中古住宅売買に関する相談事例|住宅新報|業界ニュース|一般社団法人 投資不動産流通協会

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業界ニュース

2019年07月09日

ADRの現場から 話し合いでトラブルを解決 75 日本不動産仲裁機構 中古住宅売買に関する相談事例

 ADR(裁判外紛争解決手続)は裁判に比べて、簡易・低廉・柔軟さをもったトラブル解決が可能になるが、これは消費者のみならず、不動産・建築事業者にとっても有益な制度である。今回は、法務大臣認証機関である日本不動産仲裁機構の平柳将人専務理事兼ADRセンター長から、同機構に寄せられたADR相談事例を紹介してもらう。

 前回、賃貸住宅に関する相談内容を紹介しましたが、今回は中古住宅売買に関する相談内容です。特に多い相談としては(1)瑕疵に関するもの、(2)仲介手数料や媒介行為に関するもの、(3)契約や解除に関するものがあり、さらに近年では(4)不動産会社からの消費者クレームに関する内容も増えてきています。

 (1)の「瑕疵に関するもの」には、「雨漏り」「腐食」「白アリ被害」「給排水設備の故障」等による買主と売主のトラブルがあります。例えば、「定期的に雨漏りを繰り返しており、発生の度に売主である不動産会社に連絡をし、先方の負担にて業者を手配して処置をしてもらっている。しかし、あくまで応急処置であるため雨漏りがなくなることはなく、さらに不動産会社からは引き渡しから2年の間しか対応はできないと言われてしまった」というものがあります。

 (2)の「仲介手数料や媒介行為に関するもの」には、買主と不動産会社の間の問題として、「売買契約が成立して不動産会社に報酬を支払う際、仲介手数料以外にコンサルティング料の支払いを求められた」というものがあります。また、売主と不動産会社の間の問題として、「仲介会社の意図的な誘導により、不当に安い価格で買取再販会社に物件を売却させられてしまった」といったものがあります。

 (3)の「契約や解除に関するもの」には、「売主である不動産会社と中古マンションの売買契約を結んで手付金を支払ったが、物件の引き渡し前に不動産会社が倒産してしまった。手付金は戻ってこないのか」というものや「売主に手付金を支払った後、手付放棄による解除ができる期間を過ぎてしまったが、仕事上の都合で遠方へ行かなければならなくなり、物件に住めなくなってしまった。自己都合による契約解除なので違約金を支払う必要があるのはやむを得ないが、なんとか安くしてもらうことはできないか」というものがあります。

 (4)の「不動産会社からの消費者クレームに関するもの」については、「物件購入手続きにおいて買主の対応が遅かったため、契約日が遅れ、引き渡し日も遅れてしまった。ここで、買主から遅れた分の補償をして欲しいと言われた」や「買主がローンを申し込んだが、審査に通らなかった。不動産会社の事務処理内容に問題があったと考えられるため、責任をとって欲しいと言われた」等があります。このような相談では、時間を使って相手の気の済むまで対応をすることが難しく、早急に第三者を介入させて解決させたいという思いがあるのでしょう。

 ●法務大臣認証ADR機関 日本不動産仲裁機構 電話03(3524)8013

 ※調停が体験できる「ロールプレイ研修」を定期的に実施しています。

『住宅新報 2019年7月9日号より』