国土交通省が1月に公布した「建築基準法施行規則の一部を改正する省令」が4月1日から施行されます。
今回の法改正に合わせて、木造の屋外階段の防腐措置や定期点検を強化するためガイドラインを公表しました。
-公表されたガイドライン-「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001442956.pdf
「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」https://www.mlit.go.jp/common/001310914.pdf
改正の背景
今回の改正には昨年4月、東京都八王子市内にある賃貸アパートで木造の外階段の一部が崩れ落ち、住人の女性が転落して死亡した事故が背景にあります。
階段は鉄製、踊り場に木材が使われており、階段との接続部分が腐食したことが事故の原因とされています。物件を施工した則武地所のずさんな工事の実態も明らかとなりました。
事故の原因には「法の抜け穴」が建築基準法では、屋外階段を木製とすることは原則、禁じられています。
にも関わらず、風雨にさらされる屋外階段が木製ではダメなのではないかという疑問が浮かびます。しかし、同法には「準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものを除く」という例外があり、木製とすること自体は明確に違法とはなりません。
ところが、「有効な防腐措置」については木材の腐食を防ぐための具体的な措置についての指針がなく、建築の段階でチェックする体制も整っていませんでした。
公表されたガイドラインについて
今回の教訓を踏まえ、ガイドラインには以下の内容が盛り込まれました。
1.対象となる屋外階段のタイプ
ガイドラインでは4つのタイプに分類しています。分類には、すべてが木製の階段や、木造と鉄骨を組み合わせた階段だけでなく、木造の躯体に取り付けられている鉄骨階段も含まれており、外階段のある木造アパートの多くが対象となる可能性があります
出典:木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン
2.検査体制の強化
従来は不明瞭だった防腐措置についてはプラスチック繊維を使用した「FRP防水」やシートで覆って浸水を防ぐ「シート防水」などの適切な防水処理を施すことや、階段部分に水が溜まらないようにするなどの具体的な方法が示されました。
また、どのような防腐措置を実施したかを書類に記載し、適切に措置が取られたかを検査機関などがチェックできるようになります。
また、所有者へは部材が腐食していないかの点検を促し、ホテルや病院など不特定多数の人が利用する建物は3年に1度、異常がないかを点検し行政に報告が必要となります。
維持管理コストの増加も
所有する物件が3年に1度の点検の対象となった場合は専門家に調査を依頼し、行政に報告する義務が生じます。また、点検で問題が見つかった場合は修繕費用が発生することになるため利回りに影響がでる可能性があります。
また、2018年の宅建業法改正に伴い、不動産売買における重要事項説明で保存状況を示すことが義務化されたため、問題点の多い物件は売りにくくなることが懸念されます。
国土交通省が1月に公布した「建築基準法施行規則の一部を改正する省令」が4月1日から施行されます。
今回の法改正に合わせて、木造の屋外階段の防腐措置や定期点検を強化するためガイドラインを公表しました。
-公表されたガイドライン-
「木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001442956.pdf
「賃貸共同住宅に係る工事監理ガイドライン」
https://www.mlit.go.jp/common/001310914.pdf
改正の背景
今回の改正には昨年4月、東京都八王子市内にある賃貸アパートで木造の外階段の一部が崩れ落ち、住人の女性が転落して死亡した事故が背景にあります。
階段は鉄製、踊り場に木材が使われており、階段との接続部分が腐食したことが事故の原因とされています。
物件を施工した則武地所のずさんな工事の実態も明らかとなりました。
事故の原因には「法の抜け穴」が
建築基準法では、屋外階段を木製とすることは原則、禁じられています。
にも関わらず、風雨にさらされる屋外階段が木製ではダメなのではないかという疑問が浮かびます。
しかし、同法には「準耐火構造のうち有効な防腐措置を講じたものを除く」という例外があり、木製とすること自体は明確に違法とはなりません。
ところが、「有効な防腐措置」については木材の腐食を防ぐための具体的な措置についての指針がなく、建築の段階でチェックする体制も整っていませんでした。
公表されたガイドラインについて
今回の教訓を踏まえ、ガイドラインには以下の内容が盛り込まれました。
1.対象となる屋外階段のタイプ
ガイドラインでは4つのタイプに分類しています。分類には、すべてが木製の階段や、木造と鉄骨を組み合わせた階段だけでなく、木造の躯体に取り付けられている鉄骨階段も含まれており、外階段のある木造アパートの多くが対象となる可能性があります
出典:木造の屋外階段等の防腐措置等ガイドライン
2.検査体制の強化
従来は不明瞭だった防腐措置についてはプラスチック繊維を使用した「FRP防水」やシートで覆って浸水を防ぐ「シート防水」などの適切な防水処理を施すことや、階段部分に水が溜まらないようにするなどの具体的な方法が示されました。
また、どのような防腐措置を実施したかを書類に記載し、適切に措置が取られたかを検査機関などがチェックできるようになります。
また、所有者へは部材が腐食していないかの点検を促し、ホテルや病院など不特定多数の人が利用する建物は3年に1度、異常がないかを点検し行政に報告が必要となります。
維持管理コストの増加も
所有する物件が3年に1度の点検の対象となった場合は専門家に調査を依頼し、行政に報告する義務が生じます。また、点検で問題が見つかった場合は修繕費用が発生することになるため利回りに影響がでる可能性があります。
また、2018年の宅建業法改正に伴い、不動産売買における重要事項説明で保存状況を示すことが義務化されたため、問題点の多い物件は売りにくくなることが懸念されます。