宅地建物取引業法・借地借家法が改正へ|TFKニュース|業界ニュース|一般社団法人 投資不動産流通協会

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2022年05月20日

宅地建物取引業法・借地借家法が改正へ

2021年5月19日に公布された「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」に基づく押印・書面に関する制度の見直しの一環として、2022年5月18日に宅地建物取引業法と借地借家法が改正されました。

書面での交付が要求され電子化が進まなかった不動産取引ですが、今回の改正によって「重要事項説明書の交付」「売買・賃貸借契約などの締結」などが電子化できるようになります。

電子化により印紙税を節約できることや、書面を保管する場所の確保が不要になるなどのメリットが存在することから、今後は電子化が進んでいくものと考えられます。


宅地建物取引業法

これまで、賃貸や売買の取引の際には、書面でなければならなかった規制が改正され電子化できるようなります。
また、書類に宅地建物取引士の押印も不要となるため不動産業界での電子化が進む可能性があります。

改正された点


・宅地建物取引士による押印の廃止
重要事項説明書
宅地建物の売買・交換・賃貸借契約等締結後の交付書面

・書類の電子化が可能に
媒介・代理契約締結時の交付書面※
レインズ登録時の交付書面※
重要事項説明書※
37条書面※

※が付いているものの電子化は、相手承諾が必要

実施にあたっての注意点


電子化にあたって国土交通省より「重要事項説明書等の電磁的方法による提供及びITを活用した重要事項説明実施マニュアル」が公表されています。

マニュアルでは、重要事項説明書などの交付時や、IT重説をするときに遵守すべき事項、トラブル防止のため留意すべき事項を挙げています。

遵守すべき事項の一例


・宅建業者が相手方のIT環境を確認する

IT重説を開始するにあたって、相手方が書類を確認しながら説明を受けることができるかを確認する必要があると定めています。

・電子書面の作成方法

電子書面を作成するときに、ファイル方式の指定はないものの、文字化け等が生じていないかを確認する必要があると定めています。

・契約の相手方が契約当事者本人や代理人であることの確認



借地借家法

宅地建物取引業法と同様に、書面でなければならなかった規制が改正され電子化できるようなります。

改正された点

・書類の電子化が可能に

定期借地権契約(事業用定期借地権を除く)
定期建物賃貸借契約
定期建物賃貸借契約締結時の事前説明書面※

※が付いているものの電子化は、相手承諾が必要

ポイント

・定期借地契約の特約

特約を結ぶ場合には「公正証書等の書面」による必要がありましたが、今回の改正によって電磁的記録が可能となります。
なお、事業用定期借地権については、これまで通り公正証書による締結が必要です。

普通借地契約:これまで通り電磁的契約による締結が可能
定期借地契約:改正により電磁的契約による締結が可能
事業用定期借地契約:これまで通り公正証書による締結のみ

・定期借家契約について

これまで公正証書等の書面による契約締結が必要で、締結の際に賃貸人は賃借人に対して、事前に期間満了で終了することを記載した書面を交付して説明する必要がありました。

今回の改正により、契約締結は電磁的記録で行うことが可能となり、期間満了で終了することを記載した書面については、書面の交付に代わって賃借人の承諾を得たうえで電磁的方法によることが可能となりました。

参考

借地借家法等の改正(定期借地権・定期建物賃貸借関係)について:法務省
(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00304.html)

不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。:国土交通省(https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo16_hh_000001_00036.html)