マスターリースをセットにした投資用不動産の販売手法に警鐘|TFKニュース|業界ニュース|一般社団法人 投資不動産流通協会

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2023年09月29日

マスターリースをセットにした投資用不動産の販売手法に警鐘

9月5日、東京地裁でマスターリースをセットにした投資用不動産を販売する際に、「逆ざや」状態であることを説明せずに販売した不動産会社に対してオーナー側が訴訟を起こした裁判で判決が下されました。


説明の有無がポイントに


入居者から不動産会社へ支払われる賃料より、オーナーが受け取る賃料のほうが高い「逆ざや」となっていることを説明せずに物件を販売したとして、原告は不動産会社に対して損害賠償を求めていました。

判決では、不動産会社が「逆ざや」であることを説明しなかったことを信義則上の説明義務違反にあたるとして不法行為に認定し、合計で約1475万円の損害賠償の支払いを不動産会社に命じました。

また、今回の判決では協力態勢にあった企業や経営者とされる者に対して、共同不法行為責任と認定される形となりました。


損害額の算定


今回、損害額の算定は購入価格の全額ではなく、マスターリースの賃料をもとに表面利回りを算出し、その利回りをもとに実際の賃料で計算し直した物件価格の差額を損害額と認定しています。

東京地裁は社会通念上、明らかに異常な事態であり不動産の収益力や価格評価にも大きな影響を及ぼす重要な情報であると強調しており問題視しました。

今回の判決により、借り上げ賃料を水増しすることで物件価格を高く設定する販売手法に警鐘を鳴らすものとして注目されています。