異常気象のためか、近年は梅雨前線や台風による集中豪雨が頻発しています。数十年に一度といわれる大雨が続くと、急傾斜地や渓流付近では「土砂災害」が、河川の周辺では河川の氾濫による「洪水」が、都市部で周辺の土地より低い場所では「浸水=内水氾濫」が起きるリスクがあります。
内水とは、大雨などが下水道の排水能力を超えたり、河川の増水などで排水が阻まれたりした場合に発生する浸水のことです。都市部では、水防設備を整備していても想定を超える雨が降ることで、内水氾濫が起きやすくなっています。2019年10月の武蔵小杉周辺の浸水被害は記憶に新しいところでしょう。
国土交通省の社会資本整備審議会・住宅宅地分科会が5月末に開催したオンライン会議の資料に驚くべきデータがありました。それによると、「土砂災害警戒区域」などに居住する世帯数は約157万世帯で、これは総世帯の3.0%を占めるといいます。「津波浸水想定地域」に居住する世帯数は約123万世帯で、津波浸水想定地域データの公表自治体の総世帯数の4.6%、「浸水想定地域」に居住する世帯数はさらに増えて約992万世帯となり、総世帯数の19.1%を占めるほどです。
このいずれかの災害リスク地域に居住する世帯数は、約1203万世帯で総世帯数の23.1%を占めると推計されています。つまり、5世帯に1世帯近くが、土砂災害や浸水などいずれかのリスクが想定される地域に居住していることになるわけです。
近年は、土砂災害や水害による大規模被災が相次いで起きています。国土交通省でも、手をこまねいているわけではありません。
土砂災害警戒区域にかかる基礎調査を進め、これを基に「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」を指定することで精度を高めるようにしています。また、洪水による浸水想定区域の範囲を"想定しうる最大規模"の洪水に拡大したり、内水・高潮についても"想定しうる最大規模"の浸水想定区域を指定することなどを定めています。
各自治体は「ハザードマップ」によって、こうした警戒が必要な区域を周知する必要がありますから、ハザードマップの情報の有効性が高まっていくと言ってよいのでしょう。
さらには、災害リスクの有無は、不動産の購入などの契約を結ぶかどうかの判断に大きく影響するため、不動産の取引の際に宅地建物取引業者(宅建業者)が行う「重要事項説明」で、説明すべき項目として、災害に関するリスクの説明を増やしています。
これまでも、取引の対象となる物件が「土砂災害警戒区域内か否か」、「津波災害警戒区域内か否か」については契約前に宅建業者が説明する項目になっていましたが、2020年8月28日以降は水害(洪水・内水・高潮)ハザードマップに対象物件の位置を示すことが義務化され、新たな項目として追加されるようになります。
不動産を購入するには、ローンを利用して多額の支払いをする人がほとんどでしょう。財産と命を守るためにも、災害リスクの度合いを知り、場合によってはリスクを軽減する対策を施す(地盤をかさ上げしたり、家の基礎を高くしたり、防水性の塀で家を囲んだりして浸水リスクを軽減するなど)必要もあります。そのためには、売買契約直前などではなく、購入を検討する始めの段階から、災害リスクを把握することをおススメします。
また、不動産の取引をする場合だけでなく、住んでからも災害リスクの把握は必要です。国土交通省の政策などで、ハザードマップの情報が変わっていることもあります。常に最新のハザードマップで、災害リスクの有無や程度を把握するのと併せて、避難場所も確認しておきましょう。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、各自治体が公表しているハザードマップのほかに、「重ねるハザードマップ」機能があります。これを活用して、自宅から避難場所に行くまでのルートで、洪水の浸水リスクがないか、道路冠水想定箇所になっていないか、事前通行規制区間になっていないかなどを確認しておくと、避難のために通る道が冠水していたり通行規制がかかっていたりして通行できない、という危険性が減ります。
さて、「Yahoo!ニュース みんなの意見」で、「自宅周辺のハザードマップ、確認していますか?」の投票が行われています。7月26日時点の結果を見ると、「確認している」が約65%で最多となっています。「確認したいが、方法が分からない」も約18%です。災害が頻発するなか、皆さんの意識もかなり高いようです。ただコメントを見ると、「高台だから」「マンションだから」とそれだけで安心している方や、リスクがあると知っても特に対策を考えていない方もおられるようです。
国土交通省のサイトはスマホでも見られますし、情報も常時更新されています。大雨などの気象情報が入ったら、ハザードマップをその都度確認して、水害リスクの低い親類や知人の家に避難したり、建物の上階に避難したりということも視野に、早めの避難を心がけましょう。コロナ禍で避難所に行きたくないという方もいるでしょうから、選択肢を多く持って、万一に備えるようにしてください。また、家族で出かけるという場合にも、念のために出先のハザードマップを確認しておくと安心ですね。yahooニュースより https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotokumiko/20200726-00189740/
23%が土砂災害や浸水のリスク地域に居住
異常気象のためか、近年は梅雨前線や台風による集中豪雨が頻発しています。数十年に一度といわれる大雨が続くと、急傾斜地や渓流付近では「土砂災害」が、河川の周辺では河川の氾濫による「洪水」が、都市部で周辺の土地より低い場所では「浸水=内水氾濫」が起きるリスクがあります。
内水とは、大雨などが下水道の排水能力を超えたり、河川の増水などで排水が阻まれたりした場合に発生する浸水のことです。都市部では、水防設備を整備していても想定を超える雨が降ることで、内水氾濫が起きやすくなっています。2019年10月の武蔵小杉周辺の浸水被害は記憶に新しいところでしょう。
国土交通省の社会資本整備審議会・住宅宅地分科会が5月末に開催したオンライン会議の資料に驚くべきデータがありました。それによると、「土砂災害警戒区域」などに居住する世帯数は約157万世帯で、これは総世帯の3.0%を占めるといいます。「津波浸水想定地域」に居住する世帯数は約123万世帯で、津波浸水想定地域データの公表自治体の総世帯数の4.6%、「浸水想定地域」に居住する世帯数はさらに増えて約992万世帯となり、総世帯数の19.1%を占めるほどです。
このいずれかの災害リスク地域に居住する世帯数は、約1203万世帯で総世帯数の23.1%を占めると推計されています。つまり、5世帯に1世帯近くが、土砂災害や浸水などいずれかのリスクが想定される地域に居住していることになるわけです。
国土交通省も対応。不動産の取引の際に水害リスクの説明を義務化
近年は、土砂災害や水害による大規模被災が相次いで起きています。国土交通省でも、手をこまねいているわけではありません。
土砂災害警戒区域にかかる基礎調査を進め、これを基に「土砂災害警戒区域」や「土砂災害特別警戒区域」を指定することで精度を高めるようにしています。また、洪水による浸水想定区域の範囲を"想定しうる最大規模"の洪水に拡大したり、内水・高潮についても"想定しうる最大規模"の浸水想定区域を指定することなどを定めています。
各自治体は「ハザードマップ」によって、こうした警戒が必要な区域を周知する必要がありますから、ハザードマップの情報の有効性が高まっていくと言ってよいのでしょう。
さらには、災害リスクの有無は、不動産の購入などの契約を結ぶかどうかの判断に大きく影響するため、不動産の取引の際に宅地建物取引業者(宅建業者)が行う「重要事項説明」で、説明すべき項目として、災害に関するリスクの説明を増やしています。
これまでも、取引の対象となる物件が「土砂災害警戒区域内か否か」、「津波災害警戒区域内か否か」については契約前に宅建業者が説明する項目になっていましたが、2020年8月28日以降は水害(洪水・内水・高潮)ハザードマップに対象物件の位置を示すことが義務化され、新たな項目として追加されるようになります。
災害リスク回避のために「ハザードマップ」を活用しよう
不動産を購入するには、ローンを利用して多額の支払いをする人がほとんどでしょう。財産と命を守るためにも、災害リスクの度合いを知り、場合によってはリスクを軽減する対策を施す(地盤をかさ上げしたり、家の基礎を高くしたり、防水性の塀で家を囲んだりして浸水リスクを軽減するなど)必要もあります。そのためには、売買契約直前などではなく、購入を検討する始めの段階から、災害リスクを把握することをおススメします。
また、不動産の取引をする場合だけでなく、住んでからも災害リスクの把握は必要です。国土交通省の政策などで、ハザードマップの情報が変わっていることもあります。常に最新のハザードマップで、災害リスクの有無や程度を把握するのと併せて、避難場所も確認しておきましょう。
国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」では、各自治体が公表しているハザードマップのほかに、「重ねるハザードマップ」機能があります。これを活用して、自宅から避難場所に行くまでのルートで、洪水の浸水リスクがないか、道路冠水想定箇所になっていないか、事前通行規制区間になっていないかなどを確認しておくと、避難のために通る道が冠水していたり通行規制がかかっていたりして通行できない、という危険性が減ります。
さて、「Yahoo!ニュース みんなの意見」で、「自宅周辺のハザードマップ、確認していますか?」の投票が行われています。7月26日時点の結果を見ると、「確認している」が約65%で最多となっています。「確認したいが、方法が分からない」も約18%です。災害が頻発するなか、皆さんの意識もかなり高いようです。ただコメントを見ると、「高台だから」「マンションだから」とそれだけで安心している方や、リスクがあると知っても特に対策を考えていない方もおられるようです。
国土交通省のサイトはスマホでも見られますし、情報も常時更新されています。大雨などの気象情報が入ったら、ハザードマップをその都度確認して、水害リスクの低い親類や知人の家に避難したり、建物の上階に避難したりということも視野に、早めの避難を心がけましょう。コロナ禍で避難所に行きたくないという方もいるでしょうから、選択肢を多く持って、万一に備えるようにしてください。また、家族で出かけるという場合にも、念のために出先のハザードマップを確認しておくと安心ですね。
yahooニュースより https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotokumiko/20200726-00189740/