【トレンド企画・前編】VR・スマートロックの活用で効率化できる業務って?|全国賃貸住宅新聞|業界ニュース|一般社団法人 投資不動産流通協会

業界ニュース

2021年01月11日

【トレンド企画・前編】VR・スマートロックの活用で効率化できる業務って?

 業務効率化や新型コロナウイルスの感染対策として、新しいスタイルの賃貸仲介事業に挑戦する不動産会社が増えている。前半では、感染対策のため、VR活用の事例でウェブ集客の成約率向上事例・内見時、仲介会社への鍵の受け渡しが不要になるスマートロック活用の事例を紹介する。

<VR>

オンライン上の物件情報が充実

 「オンラインで成約にいたる案件が増えている」と話すのは、エヌアセット(神奈川県川崎市)の営業部・上野謙部長だ。賃貸業界では入居希望者の仲介店舗来店数が減少傾向にあるなか、インターネット上の物件情報の充実化が成約の決め手になる可能性は高くなる。そこで、エヌアセットが昨年末に導入したのがクラウド型VR制作システム『スペースリー』だ。

 他社の成功事例を参考に、物件のVRコンテンツやパノラマ画像を充実させることで成約までの時間を短縮できると考え導入した。管理物件のうち、VR用に撮影した物件数は600件ほど。今後も入居者が入れ替わるタイミングで撮影を進めていく。


 新型コロナウイルスの影響で遠方の物件を見学できない人や、海外から来る人向けにも物件をPRできるようになり、「顧客の幅が広がった」(上野部長)という。『リモートレント』と称して、オンライン内覧や電子申し込み、IT重説にも対応するサービスも展開。非対面接客に対応している会社であることを訴求するためのホームページ作成も進めていく。

 『スペースリー』はVRやパノラマ画像のコンテンツ制作のほか、閲覧する入居者がどの物件を何回見たか、どの部屋を重点的に閲覧したかなどがわかる機能もあり、マーケティングや提案に役立てることができる。VRコンテンツ上で部屋の特定箇所を採寸できる機能もあり、入居希望者からの部屋の寸法に関する質問にスピーディーな回答が可能になる。


 部屋探しアプリ『CANARY(カナリー)』を展開するBluAge(ブルーエイジ:東京都中央区)では、今月からスペースリーとの連携を始めた。累計25万ダウンロードの『カナリー』では、部屋探しから内見予約までをアプリ上で完結できる。「オンラインでの情報収集が加速するなか、リッチコンテンツのニーズは高まっている」(佐々木拓輝社長)とし、掲載物件を360度見渡すことができる画像を順次そろえていく。今後も各種システムとの連携を進め、最終的には電子契約まで一気通貫できるアプリを目指す考えだ。

 
AR、成約率アップにつながるVR

内見後の検討資料として提供

 不動産会社向け営業支援システムを開発するAR(エーアール:大阪市)は、VR活用法『案内革命ミカエル』を提案している。VRシステム『VRROOM(ブイアールルーム』を使い、賃貸・売買不動産仲介の内見案内業務を改善し、成約率アップにつなげる。


 顧客が内見する間に営業社員が360度カメラで撮影をして、VRを制作。内見後に室内を確認するための資料としてVRを顧客に提供する。検討に必要な情報を提供することで、顧客との信頼関係の構築、他社との差別化につながる。不動産会社は顧客がVRを閲覧している回数を把握できるため、適切なアプローチが可能。不動産会社は何度も内見案内をする必要がない。『VRROOM』は、スマートフォンと360度カメラだけで、物件情報の登録、基本的な撮影・編集、VRを閲覧できるQRコードの発行までを、迅速かつ容易に完結できる。

 西村剛社長は「VRは間違った使い方をすると人件費の負担が大きく、効果を得られない。成約率や顧客満足度が上がる活用法『案内革命ミカエル』なら最短3日で売り上げアップが期待できる」と語る。

 
<スマートロック>

鍵の受渡し不要 内見機会が増加

 賃貸管理戸数約1750戸のアサヒグローバル(三重県四日市市)は、10年ほど前からアルファ(神奈川県横浜市)の電子錠を採用。現在、管理物件の98.9%で導入している。

 鍵の管理を簡易化し業務効率化を図ることが目的だ。電子錠は設定した暗証番号で解錠できる。そのため、空室中にリフォームや内見での鍵の受け渡しが不要となる。

 鍵の管理業務が軽減したことで空室期間が短縮され、入居率の向上にもつながった。理由の一つは、部屋の内見数が増えたこと。内見中の客が突発的に近隣にある別の物件の内見を希望した場合にも、暗証番号を電話やメールで伝えるだけで部屋に入ることが可能だからだ。予定外の内見に対応できることで、機会が増えた。


 同社の賃貸管理部小菅由貴彦氏は「一部の物件だけをスマートロックにしてもメリットは少ない。一括で導入し、鍵の管理や活用をコントロールできる環境づくりが重要だ」と語る。
 アルファは35年以上前に業界初の住宅用電子錠の製造・販売を開始。主流商品である『edロックPLUS(イーディーロックプラス)』は、暗証番号の他にもICカードや直径1㎝程度のシールキーを鍵として活用できる。

 6月に2ロックドア対応の電子錠『e‐PPH(イーピーピーエイチ)』を販売。12月にはワンタイムパスワードを活用できる非通信制の電子錠『edロックPLUS-OTP(オーティーピー)』を販売する。両製品とも、2022年までに1万台の導入を目指す。

 
入居希望者の単独内見に対応

 賃貸仲介、管理業の日立不動産(東京都渋谷区)では、内見業務の効率化のため、ビットキー(東京都中央区)のスマートロック『bitelock LITE(ビットロックライト)』と内見予約システム『bitlock MANAGER(ビットロックマネージャー)』を9月から採用した。

 スマートロック導入の主な目的は、仲介業者の管理物件案内時の鍵の受け渡しの負担削減などだ。

 新型コロナウイルスによる影響を考慮し、今後需要が増えると予想される入居希望者の単独内見や、安心安全な内見方法の確立を見据え、緊急事態宣言後から動きだし、7月以降本格的に検討したという。

 遠方の管理物件を中心に試験的に導入しており、入居が決まった際には、別の物件にスマートロックを付け替えて使用している。他社の製品も比較検討しており、価格面も含め、より自社の運用に合う製品を見定めている状況だ。

 
管理システムと連携不動産運用を支援

 IoTサービスを提供するユーエムイー(東京都港区)は2014年に『L!NKEY(リンキー)』の提供を開始した。暗証番号やICカードで解錠でき、オートロック機能もついている。両面テープではなく既存のシリンダー錠に固定して取り付けることができ、ドアの穴あけは不要だ。

 賃貸住宅のほか、宿泊施設などへの導入実績を積んできた。専用の管理システムで複数の鍵情報を管理することができ、ハブ機器を通したネットワーク通信により鍵の遠隔操作が可能だ。

 今月16日にはアプリに対応した『リンキープラス』をリリースした。暗証番号を複数登録することができ、複数人が使用するシェアスペースなどを管理するのに必要な機能を備えた。賃貸管理システムや民泊運営システムなどの連携もでき、多様な用途での不動産運用を支援する。

 
美和ロック、スマホで玄関鍵を遠隔施錠

鍵の閉め忘れ防止

 住宅用玄関鍵の製造・販売を行う美和ロック(東京都港区)は、12月中にスマートフォンと電子錠を連携するシステム『wiremo(ワイレモ)』を発表する。

スマホで外からでも遠隔操作ができる

 アプリケーションをスマートフォンにダウンロードし、同社の電子錠と連携。外出先からでも遠隔施錠することが可能だ。鍵の閉め忘れ防止となりセキュリティ性が向上する。利用料金は月額400円(税込み)。

 遠隔施錠の他に、閉め忘れ通知機能や帰宅・外出通知機能もあり、見守りサービスとしての活用も見込める。IDキーを家事代行サービス業者などに時限的に貸し出す『あんしんお預けキー機能』もある。

 3年以内に5000ユーザーへの普及を目指す。


全国賃貸住宅新聞 掲載URL
https://www.zenchin.com/news/post-5640.php
情報提供:株式会社 全国賃貸住宅新聞社 『週刊全国賃貸住宅新聞 11月16日16面・17面より』