安定した賃貸経営を営むには、火災保険が必要不可欠であることは言うまでもない。火災や自然災害などによって建物が被害を被れば、その復旧には突然多額の費用が必要となる。そんなときにこの費用をすべて実費で補償してくれるのが火災保険だ。しかし火災保険さえあれば賃貸経営は安心だと言えるのだろうか。
もし賃貸物件が居住不能な状態になるほどの深刻なダメージを負ってしまった場合、復旧までの間の家賃収入はどうなるのだろうか。
また、昨今発生件数が増加傾向にあると問題視されているのが、賃貸物件で発生する「孤独死」「自殺」「他殺」などの人の死に関わる不測の事態だ。これらは「心理的瑕疵」と呼ばれ、室内の原状回復が完了しても尚、次の入居者が決まらなかったり、家賃の大幅ディスカウントを余儀なくされる事態にもなっている。
本当の意味で賃貸経営を安定させるためには、家賃収入についてのリスクヘッジも考えなければならない。今回は、これら家賃収入の補償に対応する保険について詳細に解説したい。・民法の改正によって高まった「家賃損失リスク」
2020年4月、改正民法第611条「賃借物の一部滅失による賃料の減額等」が施行された。
貸室・設備等の滅失によって、通常の居住ができなくなった場合、賃借人に責任がある場合を除き賃料はその滅失部分の割合に応じて当然に減額される
以前は、「賃借人からの請求があった場合のみ減額される」という条文だったが、法改正により「当然に減額される」という表現に変更された。
つまり通常の居住が困難な状態になった時点で、家主は積極的に家賃を減額しなければならないことになったのだ。これにより、火災や自然災害、その他の事由によって賃貸物件に居住不能になるよう重大な被害が及んだ場合の家賃損失リスクが、一気に高まったと言える。・家賃損失は賃貸経営を直ちに圧迫する
万が一、所有する賃貸物件が火災や災害に見舞わられて居住が不能な状態に陥ってしまったら...。被害に遭った建物は火災保険金によって復旧するための費用が補償されるだろう。
しかしその復旧までの期間に居住不能な状態になったままでは、当然のことながら通常通り家賃をいただくことはできない。被害が複数の居室に及ぶ、或いは全焼・全壊してしまったら、復旧までの期間に失う家賃は莫大な金額になる可能性もあるだろう。
台風や竜巻、集中豪雨による深刻な被害が、今年も全国各地で発生している。これら激甚災害では、道路、電気、水道などの生活インフラが復旧しないことには、残存物の処分や後片付け、家屋の修復工事に着手することさえできない。
また、ごく限られた地域に被害が集中することから、業者の人手不足も慢性化する。よって賃貸物件が完全に復旧するまでの期間は、通常よりも相当遅延することは避けられないだろう。
毎月の家賃収入の中からアパートローンの返済を行っていることの多い賃貸事業では、たちまち返済に困窮する事態に陥りかねない。この「利益損害リスク」は、建物の被害事故(もの損害リスク)や第三者への賠償事故(賠償責任リスク)と異なり、直接の被害状況や費用負担が見え辛い特徴があることから、賃貸経営を営む上で比較的重要視されていない傾向にあるのが現状だ。しかし確実に経営状態を圧迫する深刻なリスクなので、対策を講じる必要があることは言うまでもない。・「利益損害リスク」をヘッジする家賃収入補償保険
この「利益損害リスク」をヘッジすることができるのが「家賃収入補償保険」と呼ばれる災害時の逸失利益を補償する保険だ。この保険は火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災などの自然災害に加え、建物外部からの物体の衝突や、給排水設備からの水濡れ損害等が発生したことによって、通常の家賃請求が困難になった場合にその損失が補償される。
保険料は、建物構造や用法、所在地によって異なり、物件ごとの月間家賃総額を事故発生からどれくらいの期間補償をするかによって決まる。
東京都内の木造2階建アパート(124㎡、10戸、月間家賃総額64万円)の年払保険料は、保険金支払対象期間が6ヶ月(最大限度額384万円)で8千円~1万円程度、12ヶ月(最大限度768万円)で1万2千円~1万4千円程度(保険会社・保険商品によって異なる)なので、それほど大きな負担感は感じないのではないだろうか。・火災保険のオプションとして上乗せ可能
家賃収入補償保険は単独の保険商品ではあるが、昨今の火災保険商品には「家賃収入補償特約」などの名称でオプション設定が可能なものも多い。新規契約時だけでなく、中途での追加も可能だ。
火災保険契約と一本化できるので管理上便利だが、契約の中途で家賃が変動した場合には、原則保険会社・代理店に通知して保険料の精算をする必要がある。
長期一括払契約の場合は、特約保険料をまとめて前払いすることになるので、賃貸物件の新規購入時には初期費用が多くなることから敬遠されることが多い。しかしながら安定した賃貸経営を目指すのなら、保険契約の中途からでも是非備えておきたい補償だと言えるだろう。引用:健美家 https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/hoken/9542.html
安定した賃貸経営を営むには、火災保険が必要不可欠であることは言うまでもない。火災や自然災害などによって建物が被害を被れば、その復旧には突然多額の費用が必要となる。そんなときにこの費用をすべて実費で補償してくれるのが火災保険だ。しかし火災保険さえあれば賃貸経営は安心だと言えるのだろうか。
もし賃貸物件が居住不能な状態になるほどの深刻なダメージを負ってしまった場合、復旧までの間の家賃収入はどうなるのだろうか。
また、昨今発生件数が増加傾向にあると問題視されているのが、賃貸物件で発生する「孤独死」「自殺」「他殺」などの人の死に関わる不測の事態だ。これらは「心理的瑕疵」と呼ばれ、室内の原状回復が完了しても尚、次の入居者が決まらなかったり、家賃の大幅ディスカウントを余儀なくされる事態にもなっている。
本当の意味で賃貸経営を安定させるためには、家賃収入についてのリスクヘッジも考えなければならない。今回は、これら家賃収入の補償に対応する保険について詳細に解説したい。
・民法の改正によって高まった「家賃損失リスク」
2020年4月、改正民法第611条「賃借物の一部滅失による賃料の減額等」が施行された。
貸室・設備等の滅失によって、通常の居住ができなくなった場合、賃借人に責任がある場合を除き賃料はその滅失部分の割合に応じて当然に減額される
以前は、「賃借人からの請求があった場合のみ減額される」という条文だったが、法改正により「当然に減額される」という表現に変更された。
つまり通常の居住が困難な状態になった時点で、家主は積極的に家賃を減額しなければならないことになったのだ。これにより、火災や自然災害、その他の事由によって賃貸物件に居住不能になるよう重大な被害が及んだ場合の家賃損失リスクが、一気に高まったと言える。
・家賃損失は賃貸経営を直ちに圧迫する
万が一、所有する賃貸物件が火災や災害に見舞わられて居住が不能な状態に陥ってしまったら...。被害に遭った建物は火災保険金によって復旧するための費用が補償されるだろう。
しかしその復旧までの期間に居住不能な状態になったままでは、当然のことながら通常通り家賃をいただくことはできない。被害が複数の居室に及ぶ、或いは全焼・全壊してしまったら、復旧までの期間に失う家賃は莫大な金額になる可能性もあるだろう。
台風や竜巻、集中豪雨による深刻な被害が、今年も全国各地で発生している。これら激甚災害では、道路、電気、水道などの生活インフラが復旧しないことには、残存物の処分や後片付け、家屋の修復工事に着手することさえできない。
また、ごく限られた地域に被害が集中することから、業者の人手不足も慢性化する。よって賃貸物件が完全に復旧するまでの期間は、通常よりも相当遅延することは避けられないだろう。
毎月の家賃収入の中からアパートローンの返済を行っていることの多い賃貸事業では、たちまち返済に困窮する事態に陥りかねない。この「利益損害リスク」は、建物の被害事故(もの損害リスク)や第三者への賠償事故(賠償責任リスク)と異なり、直接の被害状況や費用負担が見え辛い特徴があることから、賃貸経営を営む上で比較的重要視されていない傾向にあるのが現状だ。しかし確実に経営状態を圧迫する深刻なリスクなので、対策を講じる必要があることは言うまでもない。
・「利益損害リスク」をヘッジする家賃収入補償保険
この「利益損害リスク」をヘッジすることができるのが「家賃収入補償保険」と呼ばれる災害時の逸失利益を補償する保険だ。この保険は火災、落雷、破裂・爆発、風災、雹災、雪災などの自然災害に加え、建物外部からの物体の衝突や、給排水設備からの水濡れ損害等が発生したことによって、通常の家賃請求が困難になった場合にその損失が補償される。
保険料は、建物構造や用法、所在地によって異なり、物件ごとの月間家賃総額を事故発生からどれくらいの期間補償をするかによって決まる。
東京都内の木造2階建アパート(124㎡、10戸、月間家賃総額64万円)の年払保険料は、保険金支払対象期間が6ヶ月(最大限度額384万円)で8千円~1万円程度、12ヶ月(最大限度768万円)で1万2千円~1万4千円程度(保険会社・保険商品によって異なる)なので、それほど大きな負担感は感じないのではないだろうか。
・火災保険のオプションとして上乗せ可能
家賃収入補償保険は単独の保険商品ではあるが、昨今の火災保険商品には「家賃収入補償特約」などの名称でオプション設定が可能なものも多い。新規契約時だけでなく、中途での追加も可能だ。
火災保険契約と一本化できるので管理上便利だが、契約の中途で家賃が変動した場合には、原則保険会社・代理店に通知して保険料の精算をする必要がある。
長期一括払契約の場合は、特約保険料をまとめて前払いすることになるので、賃貸物件の新規購入時には初期費用が多くなることから敬遠されることが多い。しかしながら安定した賃貸経営を目指すのなら、保険契約の中途からでも是非備えておきたい補償だと言えるだろう。
引用:健美家 https://www.kenbiya.com/ar/ns/for_rent/hoken/9542.html