住みここちを良くすれば、地価が上がる可能性がある?「 街の住みここちランキング2022<総評レポート>」|健美家|業界ニュース|一般社団法人 投資不動産流通協会

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2023年06月24日

住みここちを良くすれば、地価が上がる可能性がある?「 街の住みここちランキング2022<総評レポート>」

大東建託株式会社は、過去最大級の居住満足度調査「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2022」を総括する<総評レポート>をまとめた。

同調査は、全国1,888市区町村に居住する20歳以上の男女646,245名を対象に居住満足度を調査し、2022年5月発表の「首都圏版」を皮切りに、約1年にわたって全国各地のランキングを発表してきた。今回のレポートでは、市区町村の重要な財源である固定資産税とも関係の深い公示地価と住みここち評価との関係について分析している。


■街の住みここちランキング2022の主なポイント

1.居住満足度には主に8個の因子がある

居住者満足度調査「街の住みここちランキング」で、住んでいる街に関する居住満足度(住みここち)とそれに関連する59の設問の回答を因子分析にかけた。

その結果、居住満足度には、生活利便性、交通利便性、親しみやすさ、静かさ治安、物価家賃、行政サービス、防災、観光自然といった8つの因子があることが分かった。これにより市区町村の因子別の特徴を把握して、居住地の総合評価である居住満足度(住みここち)を向上させるための施策のヒントになる可能性がある。


2.公示地価と居住満足度の相関係数は0.708とかなり強い相関関係がある

公示地価は数千円の場所から数百万円の場所もあるため、全用途地域の市区町村別公示地価を自然対数に変換して、対象となった1,295市区町村の居住満足度の偏差値との相関係数を計算すると、0.708とかなり強い正の相関関係があることがわかった。


3.地価とは、生活利便性、交通利便性、親しみやすさは正の、行政サービスは負の関係

居住満足度を構成する主な8つの因子のうち、生活利便性因子、交通利便性因子を向上させることで地価が高くなり、一方、行政サービス因子を向上させると地価が下がる関係性がわかった。

因子間の関係を考察すると、生活利便性因子、交通利便性因子を向上させると住宅供給が促進され人口が増える。人口が増えると適度な人間関係が構築されることで親しみやすさ因子を押し上げ、それらの結果が地価を押し上げるという関係にあることが示唆されている。


■公示地価(全用途地:自然対数)と住みここち因子の関係?

自治体単位の「居住満足度(住みここち)」と「全用途地公示地価」の自然対数について、散布図を用いて関係を分析した。次に「全用途地公示地価」の自然対数を目的変数とし、居住満足度の10因子(これまでのリリースでは8因子のみを使用)を説明変数とした回帰分析を行った。なお、居住満足度は自治体単位に求めた平均値の偏差値を用いている。

<主なポイント>

●「全用途地公示地価」の自然対数と「居住満足度」の偏差値の相関係数は0.708と高く、居住満足度と地価には一定の正の相関があり、居住満足度が高いと地価も高いという傾向があるといえそう(図1)。

●「全用途地公示地価」の自然対数を目的変数、居住満足度の10因子(これまでのリリースでは8因子のみを使用)を説明変数とした回帰分析を行い、どの因子が公示地価を押し上げたり・押し下げたりするのかを調べた。全用途地公示地価に対する各因子の影響の強さを表す偏回帰係数を見ると(表1)、親しみやすさ因子、生活利便性因子、交通利便性因子の符号がプラス、静かさ治安因子、行政サービス因子の符号がマイナスであることが注目される。
□親しみやすさ因子、生活利便性因子、交通利便性因子が上がると、地価も高くなる。
□静かさ治安因子、行政サービス因子が上がると、地価は低くなる。

●因子間の関係としては以下のようなものが考えられる。
□生活利便性因子、交通利便性因子を向上させることで、住宅供給が促進され、人口が増える。
□人口が増えると適度な人間関係が構築され、親しみやすさ因子を押し上げる。
□それらの結果が地価を押し上げる。
※生活利便性、交通利便性を向上させると住宅供給が促進されることは、今回の内容では分析できていないが、居住満足度が人口増加と相関関係が強いことは、既に学術論文として発表している(宗 2020)。
※全用途地ではなく住宅地、商業地それぞれで同じ分析を行っても傾向は同じだった。

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■住みここち因子の構造

●住みここち(居住満足度)に関する59の設問が、どのような因子に分類できるかを知るため、因子分析を行った。因子分析は、最尤法・プロマックス(斜交)回転で行っている。その結果、10の因子に分けることができ、中でも特徴的な8因子が見いだされた。

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●表2の数値は、各設問が10因子に対する関係性の高さを表している(因子得点)。設問をどの因子にグループ化できるかは次のような手順で調べた。

・まず、ある設問に対する10因子ごとの因子得点の中で最も因子得点が高い(時には次点)因子がどれかを調べる(表中ではFactと表現)。
・次に、因子ごとに高得点の設問を並び替えると、表2のような順番になる。
・そうすると、Fact1には、25の設問が1つの因子としてグループ化できるということになる。分析者は、25の設問からその因子が表す特徴に相応しい名前を付ける。ここでは生活利便性因子とした。このように8因子について、その因子の特徴を表す名前を付けた。


■調査概要

◇調査方法
株式会社マクロミルの登録モニタに対してインターネット経由で調査票を配布・回収。
◇回答者
全国47都道府県居住の20歳以上の男女、2019年~2022年合計646,245名を対象に集計。
[男女比] 男性46.9%:女性53.1%
[未既婚] 未婚37.0%:既婚63.0% [子ども] なし 47.5%:あり 52.5%
[世代比] 20歳代15.0%、30歳代22.9%、40歳代24.8%、50歳代21.6%、60歳以上15.7%
◇調査期間
2022年3月8日(火)~3月29日(火):2022年調査(回答者数:186,426名)
2021年3月17日(水)~3月30日(火):2021年調査(回答者数:184,632名)
2020年3月17日(火)~4月3日(金):2020年調査 (回答者数:178,778名)
2019年3月26日(火)~4月8日(月):2019年調査 (回答者数:96,409名)
計646,245名
◇調査体制
調査企画・設問設計・分析:大東建託賃貸未来研究所フェロー 宗 健
調査票配布回収 : 株式会社マクロミル
◇回答方法
住みここちランキングは、現在居住している街についての「全体としての現在の地域の評価(大変満足:100点、満足:75点、どちらでもない:50点、 不満:25点、大変不満:0点)」の平均値から作成。街の幸福度ランキングは、非常に幸福だと思う場合を10点、非常に不幸だと思う場合を1点とする10段階の回答の平均を、100点満点にするため10倍して平均値でランキングを作成。住み続けたい街ランキングは、「ずっと住んでいたい」という設問に対して、そう思う:100点、どちらかと言えばそう思う:75点、どちらでもない:50点、どちらかと言えばそう思わない:25点、そう思わない:0点とした場合の平均値でランキングを作成。
◇出典「いい部屋ネット 街の住みここちランキング2022<総評レポート1>」

主典:2023/04/29配信より(https://www.kenbiya.com/ar/ns/research/r_other/6741.html)