一般会計額で総額7兆389億円(前年度当初予算比1.19倍)を計上した国土交通省の来年度予算の概算要求。防災、グリーントランスフォーメーション(GX)、子育て政策の強化など重要項目が多く立ち並ぶ中でも、目立っていたのがデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進分野だ。建築・都市等DXなどの「インフラ分野のDXアクションプランの推進」では前年度当初予算比で3.11倍の222億円を計上。不動産ID、プラトー、建築BIMの普及・連携に向けた動きを加速させている。
建築・都市DXの推進は、(1)不動産ID、(2)3D都市モデルのプロジェクト「プラトー」、(3)建築BIM――の3分野の連携がカギを握っている。
土地や建物を一意に特定できる共通コードの「不動産ID」は昨年3月、国交省がガイドラインを策定。年内にも440市区町村の不動産IDを連携させるデータベースが作成され、その後、全国へと普及させ28年度以降の本格普及を目指していく。
一方、3D都市モデルのプロジェクト「プラトー」は20年より開始。都市の形状を3Dモデル化するだけでなく、建物などの用途・構造の情報も入り、オープンデータ化され、広く一般公開されるものだ。防災・防犯、まちづくりなどの多様な分野での活用事例(ユースケース)を増やし、今年度までに約130都市で導入が進み、27年度には累計500都市の導入を目標に掲げている。
国交省では不動産ID、プラトー、建築BIMなどを連携させた建築・都市DXを、28年度以降の本格普及を目指している。今年5月には官民連携組織の「不動産ID官民連携協議会」が設立し、第1回協議会を開催した。
来年度当初予算の概算要求の項目の中では、「不動産ID」を情報連携のキーとした建築・都市のDXを推進する、社会実装を加速化させるための実証実験(モデル事業)支援として1億5000万円(当初予算としては初計上)を要求している。
同事業は協議会設立に合わせ今年度より開始。今年度は補正予算4億5000万円を計上し、18件のモデル事業を採択した。防災・防犯、ガス・電気・下水道等の使用量、配送、空き家情報などと連携し、不動産・引っ越し、宅配・物流、防犯・防災、保険、まちづくり、行政などの分野でのモデル事業を支援。例えばガス・下水道等の生活インフラ使用量とひも付けることで、空き家の把握がより精緻(精緻)に進む事業も行われる。
また建築・都市DXの推進を図る上で、国交行政が保有する統計調査原票や行政手続きの各種申請は高価値なデータソースとなるが、個人情報等が課題となり、その利活用が進んでいなかった。このため、個人情報保護のための公開ルール等を策定し、GIS化するための経費として来年度4000万円を要求した。
そしてデジタル庁一括計上分のうち1億1200万円を計上しているのが「土地・不動産情報ライブラリの運用等」だ。不動産取引においての情報の非対称性を解消し、消費者保護や不動産取引を活性化するのが狙いだ。価格情報のみを地図表示していた「土地総合情報システム」を発展的に解消し、新たな「土地・不動産情報ライブラリ」の運用を24年から開始。必要な情報だけを分かりやすく地図上で重ね合わせることで、条件に合致するエリアや価格の適正性を容易に把握できる。更に不動産ID等との連携手法について技術的調査を実施する。
『住宅新報 2023年9月19日号(https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000056675)より』
一般会計額で総額7兆389億円(前年度当初予算比1.19倍)を計上した国土交通省の来年度予算の概算要求。防災、グリーントランスフォーメーション(GX)、子育て政策の強化など重要項目が多く立ち並ぶ中でも、目立っていたのがデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進分野だ。建築・都市等DXなどの「インフラ分野のDXアクションプランの推進」では前年度当初予算比で3.11倍の222億円を計上。不動産ID、プラトー、建築BIMの普及・連携に向けた動きを加速させている。
建築・都市DXの推進は、(1)不動産ID、(2)3D都市モデルのプロジェクト「プラトー」、(3)建築BIM――の3分野の連携がカギを握っている。
土地や建物を一意に特定できる共通コードの「不動産ID」は昨年3月、国交省がガイドラインを策定。年内にも440市区町村の不動産IDを連携させるデータベースが作成され、その後、全国へと普及させ28年度以降の本格普及を目指していく。
一方、3D都市モデルのプロジェクト「プラトー」は20年より開始。都市の形状を3Dモデル化するだけでなく、建物などの用途・構造の情報も入り、オープンデータ化され、広く一般公開されるものだ。防災・防犯、まちづくりなどの多様な分野での活用事例(ユースケース)を増やし、今年度までに約130都市で導入が進み、27年度には累計500都市の導入を目標に掲げている。
国交省では不動産ID、プラトー、建築BIMなどを連携させた建築・都市DXを、28年度以降の本格普及を目指している。今年5月には官民連携組織の「不動産ID官民連携協議会」が設立し、第1回協議会を開催した。
来年度当初予算の概算要求の項目の中では、「不動産ID」を情報連携のキーとした建築・都市のDXを推進する、社会実装を加速化させるための実証実験(モデル事業)支援として1億5000万円(当初予算としては初計上)を要求している。
同事業は協議会設立に合わせ今年度より開始。今年度は補正予算4億5000万円を計上し、18件のモデル事業を採択した。防災・防犯、ガス・電気・下水道等の使用量、配送、空き家情報などと連携し、不動産・引っ越し、宅配・物流、防犯・防災、保険、まちづくり、行政などの分野でのモデル事業を支援。例えばガス・下水道等の生活インフラ使用量とひも付けることで、空き家の把握がより精緻(精緻)に進む事業も行われる。
また建築・都市DXの推進を図る上で、国交行政が保有する統計調査原票や行政手続きの各種申請は高価値なデータソースとなるが、個人情報等が課題となり、その利活用が進んでいなかった。このため、個人情報保護のための公開ルール等を策定し、GIS化するための経費として来年度4000万円を要求した。
そしてデジタル庁一括計上分のうち1億1200万円を計上しているのが「土地・不動産情報ライブラリの運用等」だ。不動産取引においての情報の非対称性を解消し、消費者保護や不動産取引を活性化するのが狙いだ。価格情報のみを地図表示していた「土地総合情報システム」を発展的に解消し、新たな「土地・不動産情報ライブラリ」の運用を24年から開始。必要な情報だけを分かりやすく地図上で重ね合わせることで、条件に合致するエリアや価格の適正性を容易に把握できる。更に不動産ID等との連携手法について技術的調査を実施する。
『住宅新報 2023年9月19日号(https://www.jutaku-s.com/newsp/id/0000056675)より』